50代で転職した女性Qさんの体験談。会社都合で解雇され起業「何歳でも挑戦できる」

50代でキャリアの岐路に立たされ、「今さら転職なんて」「新たな挑戦ができるのか」と不安を抱える方は少なくありません。

今回は、大企業からベンチャー企業へ転職後、会社都合での解雇という試練に見舞われながらも、MBA取得を経て起業し、新たなキャリアを切り開いたQさんにお話を伺いました。

Qさんのプロフィール
大学卒業後、高級小売業A社で経験を積んだのち、33歳で外資系ブランドB社に転職。幅広い分野で貢献するも、組織方針への違和感からベンチャー企業C社へ転職。人材開発に尽力したが、業績の悪化により半年で会社都合により解雇。その後、経営大学院でMBAを取得。現在は起業し、新たな道にチャレンジしている。

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昇進、留学…大企業を離れ、ベンチャー企業を選んだ理由

ーこれまでのご経歴について教えてください。

新卒で高級消費財を中心に扱うA社へ入社しました。当時からユニークな方針をもつ会社で、商材の仕入れ、店頭販売業務、顧客・在庫管理などを担当商品ごとに一貫して担っていました。

一方で、女性はどんなに昇進しても部長職止まり。30代を迎える頃には、自分のキャリアにもっと幅を持たせたいと考えるようになりました。当時の取り扱い商材にイタリア製品が多かったことからイタリア語を学び始め、語学検定3級を取得。上司からは管理職試験へのチャレンジも勧められたのですが、イタリア・フィレンツェへの留学を選びました。

1年後、日常会話には不自由しないレベルに達し、帰国。前職A社と同じ服飾関係かつイタリア企業をターゲットに転職活動を行い、約4ヶ月後にイタリア発の有名ブランドであるB社に入社しました。

B社では19年間にわたり、売り場のプランニング、営業、人事に加え、スタッフへの教育を長く手がけてきました。

しかし、上層部交代に伴って考え方の違いを感じることが多くなり、退職を決断。その後半年ほどは旅行などをして過ごしていたのですが、ご縁があり、ベンチャー企業であるC社に人事担当として入社することとなりました。

―30代の転職と50代の転職を比較して、違いはありましたか。

30代の転職は、キャリアをさらに発展させるぞといった意欲に満ちていました。若さを強みに、新たな分野への挑戦や年収アップを目指す積極的な姿勢を持っていたと思います。

一方50代では、過去の経験やスキル、人間関係など、これまで培ってきた資産を活かすスタイルの転職でした。スキル単体ではなく、経験値や人脈を含めた総合的な力が武器になったと感じます。

―大企業からベンチャー企業への転職を決断されたのは、なぜだったのですか。

経験のある小売業には複数の選択肢がありましたが、長年の経験で実情が分かり、魅力を感じなくなっていたのです。一方ベンチャー企業は組織が柔軟で、自分自身が組織変革に関われる可能性があります。また、これまでの経験で社員の成長を支援することに大きなやりがいを感じてもいました。

小売業とは全く異なる業種でしたが、何度も社長や役員との面談を重ね、入社を決めました。

―ベンチャー企業で働く難しさを感じることはありましたか。

先行きが不透明な中で、皆で知恵を出し合いながらいろいろと模索していきました。大企業と比べて社会的信用の面でもこれからの会社だったので、営業の難しさも痛感しましたね。

社内制度が十分に整備されていないことも、入社してから分かりました。改善に向けて社内で提案を行いましたが、コスト面での制約があり、すべて受け入れられたわけではありません。とはいえ、「制度がないからこそ自分たちで工夫できる」という新鮮な感覚が得られたのも事実です。

ところが、入社後わずか半年でC社を去ることとなります。理由は会社業績の悪化。会社都合での解雇でした。

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予期せぬ解雇の先に見えたのは「キャリアの次のステージ」

ー50代での会社都合解雇。どういった心境でしたか。

業績悪化の主な要因は役員が会社のお金を不正に使い込んでいたことでした。その問題の実情を知って唖然としたというのが正直なところです。ある意味では、そのような組織を辞められてほっとしました。しかし、その後、収入が途絶えることへの不安が頭をよぎったのです。

―50代半ばでの転職活動にあたっては、どのような不安を感じましたか。

まず、年齢による転職の難しさへの不安ですね。50代での転職は非常に難しいという現実を重々承知していました。また、業界・職種の選択に対する葛藤もありました。アパレル系を始め、オファーはいくつかいただきましたが、「また同じことをやるのか」という迷いを感じたのです。

また、ベンチャー企業という未知の領域に飛び込んだ経験を経て、さらに新しいことをしたいという思いが芽生えていました。

結局、転職はせず、経営大学院に入ることを決断。単科生時代を含め、足掛け4年をかけてMBAを取得しました。

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経営大学院入学のきっかけは「手相占い」

ー50代後半でMBAを目指した背景と、決断を後押ししたものは何だったのですか。

C社を退職して将来に不安を感じていた頃、知人に紹介されて手相占いに行きました。そこで、「自分を生かしきれていない。学び直すべきタイミングです」と指摘されたのです。しかも「大学院で、これまでとは違う過酷な学びを選んだ方が良い」と具体的にアドバイスされました。

占いで大学院入学を決めるなんて、突飛なエピソードに聞こえるかもしれません。でも私は確かに、これまでのキャリアでもインプット不足を自覚していました。手相占いはひとつのきっかけに過ぎなかったのだと思います。

時を同じくしてある経営大学院の存在を知り、すぐに詳細を調べて翌日には体験授業を受けました。授業はとても刺激的で、頭をガツンと打たれるような衝撃でした。進学を即決して当日の夜には指定されたエッセイを作成し、提出。

2日後には入学許可が下りました。初回講義に出席したのは、占いを受けてからわずか10日後のことです。急激な変化ですが、新しいことを学べるという期待を強く感じました。幸いB社の退職金もありましたので、お金の不安もそれほど感じることはなかったですね。

―経営大学院で学んだことについて、詳しく教えてください。

学習内容は、ヒト・モノ・カネ全般、全領域を網羅しました。受講科目は30以上に及びます。個人の興味に応じて重点分野を選択でき、例えば金融系ならファイナンスの上級科目まで履修します。私はマーケティングを中心に学びました。

授業は夜19時から22時で、授業後には先生に質問できる時間もあります。懇親会もあり、終わるのは夜中でした。

予習・復習に加え、成績を左右するレポート作成にも時間がかかり、寝るのは毎日夜中の1時、2時。金融系の科目では、銀行員や証券業界の人たちと朝5時から勉強会を行うこともありました。常に寝不足で、疲労困憊でした。よく床で寝ていたことを思い出します。

学生生活は過酷でしたが、今振り返ってみれば、楽しい日々でした。乗り越えたおかげで非常にタフになったと思っています。

―大学院での学び直しを経て、キャリアへの考え方は変化しましたか。

学び直しを経て転職よりも起業への気持ちが高まりました。周囲は多様な業界出身の方が多く、年齢層は自分より20歳ほど若い層が中心。卒業後は私のような起業組だけでなく、社内で新規事業を立ち上げて子会社化し、経営者になる人もいました。

また、本科生だった2年間で少なくとも6回は「自分の志」や「社会貢献できること」について考えるセッションがあり、自然とキャリアビジョンを固める流れができていきました。自分の強みや興味の方向を突き詰める中で、「これからどう生きたいか」を深く考え、起業へと意識が定まっていったという感じです。

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見えない傷を抱えた人たちに、もう一度社会とつながる機会を

―現在はどのような事業を手掛けておられるのでしょうか。

障害者事業所で作られているジュエリーの販売支援を行っています。他に、高級消費財の顧客に対するアプローチの仕方や顧客との関係性づくりのアドバイザリーサービスも手がけています。

ー起業時に大変だったことや不安だったことはありましたか。

大学院でベンチャー企業がぶつかりがちな壁などは学んだものの、起業手続きそのものは教わっておらず、「会社をどう作るのか」についての基本的な知識はゼロの状態でした。

そこで、YouTube動画を何十本も視聴し、起業のやり方を独学で学びました。事業計画書などもすべて自力で作成しています。「考えるより動く」状態で、心配よりも作業に追われる日々。不安を感じる暇もありませんでした。

最初のお客様は、どのように獲得されたのですか。

試作品のネックレスを販売する企画を立てたところ、とある自治体が目を留めてくださいました。展示・販売スペースを提供いただき、短期間で完売。ニーズを確信し、正式に法人化しました。

起業当初から現在までの歩みをお話しください。

試作品を販売した地域で継続的に売上を伸ばすことは難しかったものの、新たに都心の小売店で商品を置いてもらえることになりました。

起業初年度から順調に利益が上がり、新製品の開発にも取り組んでいたのですが、思わぬことが起きました。2024年1月の能登半島地震で重要なパーツをお願いしている工房が被災してしまい、調達が困難になってしまったのです。現在も新商品の製作ができないまま、在庫が尽きかけている状況です。

将来に対する不安はもちろんありますが、作り手のみなさんも前向きなので、今は現状を受け入れつつ、支援を続けながら材料が揃うのを待っているところです。

―今後の目標や達成したいことはありますか。

目に見えづらい障害や心の傷を持つ人たちが、「自分の存在が誰かを喜ばせる」という経験を通して、自らを信じ直せる社会を作りたいと考えています。

商品の作り手である障害者事業所の利用者さんたちは、成人してから精神疾患を患った方々。パワハラやDVが主な原因であるにもかかわらず、「自己責任」で片付けられがちな現状があります。

だからこそ、商品を通じて「自分の仕事が誰かの気持ちを明るくさせている」という実感を持ってほしい。作り手がさらに自分に自信を持ち、社会参加を続けられる循環を作っていきたいと考えています。

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50代の今こそ、眠っていた「知恵や経験」を呼び覚ますとき

ー転職やキャリアチェンジを考える50代女性に向けて、励ましやアドバイスをお願いします。

心の持ち方としては、「〜すべき」という思い込みを手放すことをおすすめしたいですね。自分にプレッシャーをかけず、気楽に考える。成功や成果を焦らず、目の前の小さな成長に目を向け、自分を信じてほしいと思います。

そのためには、どんなに小さな学びでも「確実に自分を成長させている」と自覚すること。たとえば、ファイナンスやマーケティングの知識を得ることで、財務や企業の強みを分析できるようになります。新たなスキルや知識を得るたびに、次のチャレンジへの自信が深まるのです。

50代までに積み重ねた知恵や経験は、必ず活用できます。自分でも忘れていた強みを掘り起こし、武器に変えていきましょう。

目の前のことを一つひとつ丁寧に取り組めば、新しい扉が開いていくもの。意外な場面で「自分はできる」という実感が持てるようになるかもしれません。

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まとめ

Qさんのケースからもわかるように、50代でのキャリアチェンジには、年齢による転職市場での難しさや、これまでのキャリアをどう生かすかという葛藤など、さまざまな課題があります。特に従来の延長線上ではない新たな道を選ぶ際には、自力で模索し続ける強い意志と柔軟な心構えが求められるでしょう。

とはいえ、50代までに培った知恵や経験、人脈は大きな財産です。新たな学びを取り入れながら自分を信じ、小さな一歩を積み重ねていけば、たとえ未知の領域であっても新しい可能性を切り開くことは十分に可能です。

これからキャリアチェンジを考える人は、思い込みを手放し、自分の強みを再発見することから始めてみましょう。転職にこだわらず、学び直しや起業、副業といった選択肢も含めて柔軟に未来を描くことで、より自分らしいキャリアの扉が開かれるはずです。

 

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