50代はキャリアの分岐点。役割の変化や将来への不安を抱えながらも、まだまだ成長や挑戦のチャンスは十分にあります。本記事では、50代が直面するリアルな課題とその背景、そして実際に成長を続けている人々の行動パターンや事例を紹介します。
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50代が直面するキャリアの悩みと現状

年齢を重ねるにつれて、キャリアに対する考え方や悩みは変わっていきます。特に50代は、役割の変化や将来への不安が重なりやすい時期です。以下では、50代ビジネスパーソンが直面している課題と、その背景について整理してみましょう。
50代以降、仕事に対するモチベーションが下がる理由
50代は、キャリアの節目にさしかかり、多くの人がさまざまな悩みを抱えています。その中でも大きな課題となっているのが、仕事へのモチベーションの低下です。
人材育成や組織開発を手がけるLearning Design Membersが実施した調査によると、50代以上の社員のうち、実に95%以上が「現在の仕事に対するモチベーションが以前より下がっている」と回答しています。
モチベーションが下がる背景には、年代ごとの違いも見られます。たとえば、50~54歳では「業務量が多すぎる」、55~59歳では「求められる役割が変わった」、60~65歳では「給与が下がった」といった理由が同調査では多く挙げられています。
転職が難しくなる年代
こうした状況を打開するために転職を考える人もいますが、50代にとって転職市場は依然として厳しいのが現実です。厚生労働省の「雇用動向調査結果」によると、2023年における50代の転職率は男性は5.3%、女性は6.6%と低い水準となっています。
このように50代の転職は依然として難易度が高く、誰もが簡単にキャリアを切り替えられるわけではありません。
また、Indeedが行った調査では、50~70代の約6割が「60代以降も働きたい、あるいは働く必要がある」と感じている一方で、体力・健康・スキルなどに不安を抱えている人が多いこともわかりました。
加えて、「このまま定年まで働けるのか」「シニアになっても働き続けたいが不安がある」といった将来への心配も抱える方も少なくありません。
参考:
Learning Design Members「50代以上のビジネスパーソンに聞く!『仕事やキャリアに関するアンケート調査』」
Indeed Japan株式会社「シニア世代の就業に関する意識調査を実施」
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50代で伸びる人の特徴・行動パターン

一方で、年齢に関係なく成長を続け、活躍している50代も少なくありません。パーソル総合研究所が行った調査によると、40~50代の中でも特に高い成果を上げている人には、5つの行動特性が共通しているとされています。
- 仕事を意味づける:自分の仕事に意義や目的を見出し、社会や組織に貢献しているという実感を持っている
- まずやってみる:新しいことにも積極的に挑戦し、失敗からも前向きに学んでいく姿勢がある
- 学びを活かす:日々の学びを実務に取り入れ、スキルや知識を実際の行動につなげている
- 自ら人と関わる:周囲との関係構築に積極的で、自らネットワークを広げていく
- 年下とうまくやる:年齢にこだわらず、若い上司や部下とも自然に協力関係を築ける
これらの行動は、実際に高い業績と明確な相関があるとされています。中でも「学びを活かす」姿勢や「年下とうまくやる」柔軟さは、50代の仕事の成果に大きく関わっている要素といわれています。
実際、平均すると53.5歳で自分より年下の上司が現れるというデータもあり、多くの50代が若手とともに働く環境にあります。このとき、年下の意見を素直に受け入れられるか、年齢差にとらわれずチームで成果を出せるかが、今後のキャリアを左右する重要なポイントになります。
活躍している50代ほど、自分より若い世代からも積極的に学び、若手を支える姿勢を持っていることが特徴です。そうしたフォロワーシップが、キャリアの停滞を防ぎ、前に進むための原動力になっているのです。
二極化する50代、成長する人・停滞する人
ただし、すべての50代がこうした行動特性を発揮できているわけではありません。パーソル総合研究所の調査では、ミドル・シニア層の約4割がこれらの特性を平均以下と評価され、「伸び悩みタイプ」に分類されています。
この伸び悩みタイプが一定数いることは、日本企業全体の生産性にも影響を与えかねないと指摘されており、この層の行動変容をどう促していくかは企業にとって大きな課題です。つまり、50代の間でも「成長し続ける人」と「停滞する人」の二極化が進んでおり、前向きな行動習慣やマインドをどう広げていくかが問われています。
実はポテンシャルの高い世代
興味深いことに、50代全体を見たとき、「新しいことに挑戦したい」と考えている人は少なくありません。
朝日新聞社が行った調査では、自ら変わろうとする力や意欲を「変身資産」と呼び、それを自己評価してもらったところ、50代は40代や60代よりも高いスコアを示したといいます。
新しいことへの挑戦に前向きな人が多く、学び直しへの関心も高まっています。また、SNSやYouTubeなどのデジタルツールも柔軟に活用する人が多く、情報収集や自己成長の手段として使いこなしている姿も見られます。
このように、今の50代は、人生後半戦を充実させようと意欲的に動いている世代でもあるのです。
成長する50代のカギは「学び」と「柔軟性」
こうした背景から見えてくるのは、50代で活躍し続けるためには「自ら学び続ける姿勢」と「年齢にとらわれない柔軟なコミュニケーション力」がとても重要だということです。
実際に成果を出している50代は、自分の仕事の意味を見つめ直し、若手とも対等に関わりながら、新しいスキルを取り入れていく姿勢を持っています。そのような行動が、長く活躍できる“生涯キャリア”につながっているのです。
参考:
パーソル総合研究所「躍進するミドル・シニアに共通する5つの行動特性」
パーソル総合研究所「ミドル・シニア層の約4割を占める「伸び悩みタイプ」とは? 50代前半に多い躍進停滞層の特徴」
なかまぁる「50代でも変身できる 学び直しで成長し続けたい YouTubeやInstagramを使いこなす 50代のペルソナ像」
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50代以降でのキャリアチェンジ事例を紹介

キャリアの転機を迎えやすい50代において、実際にどのように行動し、キャリアを切り拓いていくのでしょうか。シニア独立100万人の取材の実例をもとに、リアルなキャリアチェンジの道のりをご紹介します。
元三越社員が“現場主義”で挑む地域活性化のリアル
ご経歴
1993年に三越へ入社。婦人服販売、法人営業、広報戦略、豪華客船ショップ運営などを経験。2009年に早期退職後、起業。現在は山形県戸沢村で地域活性化アドバイザーとして活動中。
新しい挑戦の内容
地方に移住し、ふるさと納税の拡大や移住促進、空き家対策などに挑戦。アドバイザーではなく、現場で一緒に汗をかくプレイヤーとして地域と向き合っている。
直面した課題
都市部出身という立場に対する警戒感や、行政との進め方の違い、返礼品の偏り、高齢化による地域産業の衰退など、複数の課題に直面した。
どのように乗り越えたのか
長靴を履いて事業者を訪問し、地域行事に参加するなど、地道な現場活動を通じて信頼を獲得。行政との調整や商品提案も自ら主導し、少しずつ成果を積み上げていった。
50代以降の方へのメッセージ
これまでの経験は、現場でこそ真価を発揮します。肩書きにとらわれず、手を動かす覚悟を持てば、地方にはまだまだ活躍の場があります。ぜひ一歩踏み出してみてください。
日本国内で地方創生や地域活性化が課題となっている現代では、50〜60代のセカンドキャリアとして、これらの活動に取り組むのも魅力的な選択肢の1つです。しかし、「地方創生・地方活性化については興味があるけど、実際どんな働き方になるのか?」と疑[…]
“信用”を武器に独立――元住友商事人事が切り拓くキャリア&経営コンサルの道
ご経歴
京都大学卒業後、住友商事に入社。人事部で採用や人材育成を担当し、その後は8回の出向を経てグループ会社の経営に従事。60代で独立し、現在はキャリア・経営・人事労務の分野でコンサルタントとして活動中。
新しい挑戦の内容
65歳で個人事業主として独立。「信用」を武器に複数の顧問契約を獲得し、キャリア支援や組織づくり、労務管理まで多様なコンサルティングを展開。シニア向け研修講師としても活躍の場を広げている。
直面した課題
急性喘息による体調不良で役職候補から外れ、キャリアに迷いが生じた。加えて、社労士試験の不合格や出向の繰り返し、独立予定の延期など、思うようにいかない局面が続いた。
どのように乗り越えたのか
キャリアの棚卸しとスキルの言語化を徹底。出向先や知人とのつながりを活かして自ら提案営業を行い、案件を獲得。通信講座やオンライン講師研修で必要な知識もアップデートし、実力で信頼を築いた。
50代以降の方へのメッセージ
キャリアを過小評価しないでください。50代・60代はまだまだ働き盛り。これまでの経験には必ず価値があります。独立には特別なスキルよりも、信頼・行動力・そして覚悟が何よりも大切です。
よりよい将来に向け、独立に踏み切る50~60代のビジネスパーソンが増えています。独立のハードルは昔より低くなっていますが、その一方で定期収入がなくなる、顧客獲得に自信がないなどの不安から決断できない人が多いことも事実です。 &n[…]
セルフブランディングとネットワークで切り開く独立の道
ご経歴
1963年大阪府生まれ。学生時代はバックパッカーとして海外を放浪。三洋証券、キーエンスを経て三井住友海上へ。会社員時代から「人と人をつなぐ」活動を続け、2015年に独立。代表世話人株式会社を設立し、現在は数十社の顧問として経営支援を行っている。
新しい挑戦の内容
50代で独立し、わずか3ヶ月で30社と顧問契約を締結。「人と人をつなぐ」ことを事業化し、経営者の課題を解決する支援を実践。現在は自身のネットワークを活かして、経済圏10兆円へのアクセスを目指して活動中。
直面した課題
独立を決意した直後、信頼していた知人から「このサービス内容では契約しない」と否定される経験をし、不安が募った。また、独立にあたり、社内での価値が認められなくなるなど精神的な葛藤も抱えていた。
どのように乗り越えたのか
これまで支援してきた経営者たちが「営業は任せて」と自発的に応援してくれた。自身はあくまで価値提供に集中し、「やらないこと」を決めて信頼と継続性を優先。紹介によって契約が増え、現在も高い継続率を維持。
50代以降の方へのメッセージ
肩書きではなく、自分が何を提供できるかを見直してほしい。50代・60代はまだキャリアの折り返し地点。社内の評価ではなく、社外で通用するスキルを育てる意識と、一歩踏み出す行動が未来を切り開きます。
独立を考えられている50、60代の方の中には、「独立しても顧客を見つけられるのだろうか」と不安に思う方も多いかと思います。 今回の取材では、独立後3ヶ月以内で30社と顧問契約を結ぶなど、普通では考えられない結果を出している杉浦さんに[…]
「80社以上に応募するも、書類選考がほとんど通らない」元食品メーカー技術者が挑む転職活動
ご経歴
大手食品メーカーで技術職からマーケティング部門へ異動し、グループ会社5社で30年以上にわたりマーケティング業務を担当。定年退職後、同業界の企業に転職し、現在はマーケティング責任者として活躍している。
新しい挑戦の内容
再雇用を選ばず、自身の専門性を活かせる新天地を求めて転職活動を開始。70歳まで働くことを視野に入れ、年齢に縛られずスキルで勝負できる企業への転職を目指した。
直面した課題
80社以上に応募するも、書類選考がほとんど通らず。「年齢で足切りされているのでは」という壁に直面。職務経歴書の作成にも苦戦し、自信を失いかけた時期もあった。
どのように乗り越えたのか
ヘッドハンティング型の転職支援会社に切り替え、書類添削や面接対策を受けたことで、通過率が改善。職務経歴書をシンプルかつ目的に特化した内容に修正し、企業とのマッチング精度を高めた。
50代以降の方へのメッセージ
50代は企業の課題を解決できる力を持つ世代です。へりくだるのではなく「このスキルで貢献できます」と伝えることが鍵。経験を武器に、第二のキャリアを前向きに切り拓いてください。
50代の転職では豊富な実績があるにもかかわらず、書類選考に落ち続ける現実に直面し「年齢の壁」を痛感する人も少なくありません。 しかし、そのような厳しい状況のなかでも、諦めずに転職活動を続けることで新たなキャリアを手にすることは可能で[…]
50代後半、医療業界へ転身。元大企業本部長が挑む病院改革の最前線
ご経歴
大企業A社で30年間勤務し、本部長として約200名を率いる。退職後は起業を経験。事業の継続に苦戦し転職を決意。中小企業2社を経て、現在は未経験業界であるD病院の事務部長として経営支援を行っている。
新しい挑戦の内容
50代後半で全くの未経験業界である医療業界に転職。病院の経営改革や構造改善を担い、管理職として組織変革に挑戦している。現在も第一線でマネジメントを実践中。
直面した課題
起業では営業や資金調達など、会社員時代とは全く異なるスキルが求められ、思うように成果が出せず転職を選択。転職後は異業種の文化・価値観の違いや、中小企業特有の組織課題に直面した。
どのように乗り越えたのか
自分の強みを「経営支援」に絞り、業界経験にとらわれず挑戦。過去の成功体験に固執せず、現場視点で着実に信頼を積み重ねた。未経験業界でも「通用する軸」を持ち、柔軟に適応した。
50代以降の方へのメッセージ
これまでの成功体験は一度リセットし、挑戦と失敗を恐れずに踏み出してほしい。60歳で終わりではなく、まだまだ現役。「昔は良かった」はNG。自分の軸を再定義し、社会で必要とされる存在であり続けましょう。
50代で転職活動をする方の中には、未経験業界への転職も選択肢として考える方もいることでしょう。 今回は大企業で管理職を務めたのちに起業に挑戦し、その後中小企業2社への転職を経て、未経験業界に転職したNさんに、中小企業に転職するに至っ[…]
50代以降の転職でお困りの方はBEYOND AGEまでご相談ください
まとめ:50代からキャリアを再構築するために
50代のビジネスパーソンは、豊富な経験を持つ一方で、モチベーションの低下や役割の変化、転職の難しさなど、さまざまな壁に直面しやすい世代です。
しかし、長年培ってきたスキルや視野を活かして、ここから新たな挑戦を始める人も少なくありません。「もう遅い」と感じる必要はなく、むしろ今はキャリアの後半をどう充実させるかを考える絶好のタイミングだと言えるでしょう。
大切なのは、考えるだけでなく行動に移すこと。学び直し、転職、副業など、自分に合った一歩を踏み出すことで、新しい可能性が開けてきます。企業や自治体の支援制度を活用するのも有効です。
50代は思っている以上に可能性を秘めた世代です。これまでの経験や人脈を活かしながら、自分らしいキャリアを再設計していく。そんな前向きな50代が増えていくことが、これからの社会にとっても大きな力になるはずです。