書類選考が通らない―50代転職の現実に直面したAさんの突破口とは

50代の転職では豊富な実績があるにもかかわらず、書類選考に落ち続ける現実に直面し「年齢の壁」を痛感する人も少なくありません。

しかし、そのような厳しい状況のなかでも、諦めずに転職活動を続けることで新たなキャリアを手にすることは可能です。

この記事では、50代で転職を経験したAさんの体験談をもとに、「50代以降、転職市場の状況が厳しいなか、どのように成功をつかんだのか」を詳しく掘り下げてお伝えします。

Aさんのプロフィール
大手食品メーカーに技術職として入社し、その後マーケティング部門に異動。定年退職するまで30年以上にわたり、本社を含むグループ企業5社でマーケティングに従事する。現在は転職先の企業で、マーケティング責任者として活躍中。

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「マーケティングの経験を生かしたい」50代後半で転職に踏み切る

ーこれまでのご経歴について教えてください。

最初は大手食品メーカーKに技術職として入社し、その後マーケティング部門に移りました。企業Aには5つのグループ企業があり、そこで30年以上マーケティングに関わっていました。

2022年に定年退職で退社し、現在は同じ食品業界の企業で、マーケティング責任者として働いています。

ーどのような理由があり50代で転職しようと思ったのですか?

もともと50歳の半ばくらいには「定年になったら辞めよう」と考えていました。今は再雇用という道もあり、実際多くの同期が再雇用で引き続き働いていますが、せっかくなら自分の好きな分野で働きたいと思ったのです。

というのも、再雇用では多くの場合、部下が上司になるという逆転現象が起こり、お互いに気を遣って仕事がしづらくなってしまいます。

このような状況を防ぎ、組織としての働きやすさを維持するために、再雇用後は今までとはまったく違う部署に異動させられたりするケースも多いのです。

私は今まで培った経験やマーケティングの専門性を生かして働きたいと考えていたため、部署が変わるリスクがある再雇用は最初から考えておらず、転職活動をしようと考えていました。

ー転職先に求める条件はどのように考えていましたか?

企業規模にはこだわらず、マーケティングスキルを生かせる会社を探していました。

また、できるだけ長く働きたかったので「本人が希望するのであれば70歳くらいまで働いていいよ」と言ってもらえるような会社を見つけたいと考えていました。

例えば、大企業であれば若い人をどんどん採用するため、65歳以降も継続して働けるようなところはほとんどありません。

私は70歳くらいまで働きたいと考えていたので、65歳以降も必要な人材として期待してもらえるような、大企業ではない会社を探していました。

ー絶対に譲れない条件などはありましたか?

先ほど申したように、譲れない条件はマーケティングの仕事ができるという条件のみですね。私にはマーケティングという積み重ねたスキルがあり「自分が持っているスキルを生かすこと」に関心がありました。

このような理由で、マーケティングの仕事ができることが最も優先度が高い事項でした。また、前職の企業Aではグループ会社に何度も出向していたため、違う会社で働くことに対して抵抗感や違和感がありません。

そのため、勤務地を特に制限することもなく「新しい土地で働いたら楽しいだろうな」というワクワクした気持ちで、地方の会社にも応募していました。

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書類選考の段階で予想以上に苦戦

ー主にどのような求人サイトや方法で応募をされていたのですか?

転職サイトは日系、外資系を問わず、10以上のサイトを利用しました。しかし、その中で役に立ったと思ったのはヘッドハンティング型の1社だけです。

最初はさまざまな求人サイトを通してマーケティングの仕事を探していましたが、あまりにも書類選考が通らなかったのです。

Web上で募集を行っている企業の多くは、表向きには公言していないものの、実際には50代・60代の応募者を書類選考の段階で足切りしているのではと感じました。

一方、ヘッドハンティング型の会社は、応募者のスキルを個々に評価して一人ひとりと向き合ってくれて、自分のような人間を求めている企業を紹介してくれました。

そのことが、転職成功に結びついた理由のひとつと考えています。

ー50代という年齢で、転職活動に踏み切る上で不安に思ったことはありますか?

不安がなかったわけではありませんが、マーケティングのスキルを生かして70歳ごろまでは働きたいと思っていたので、転職活動をすることに迷いはありませんでした。

実際に再雇用でそのまま働き続ける人も多くいますが、65歳以降も継続して働けるケースはほぼありません。

65歳以降も自分の能力を生かして好きな仕事をするには、他に働き先を見つける必要があったため、前向きな気持ちで転職活動を行っていました。

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書類選考が通らない状況に直面した際の対策とは

ー書類選考に通らず「足切りされているように感じた」とのことですが、なぜそう感じたのですか?

およそ80社以上の企業に応募しましたが、そのほとんどが書類選考の段階で落とされました。あまりにも書類選考が通らないため、年齢で足切りされているのではと思いました。

多くの会社は、30・40代のような元気や若さ、柔軟性を求めているケースが多いと思います。実際、転職活動をしてみた感覚では、40代までを採用したいと考えている企業が多いと感じました。

ただ、会社の組織で上に立ち、課題を実際に解決してくれるような人物を探している企業も存在します。そのような企業には、若さではなく経験や専門性がある50代の人間が適していると思います。

50代の転職では、このような企業をピンポイントで見つけることが重要です。私の場合は、ヘッドハンティング型の会社に相談することで、自分の経験やスキルにマッチする企業を提案してもらえました。

転職活動を終えた今は、最初から専任の担当者がいるヘッドハンティング型の会社にしていれば、無駄な時間を省き、もっと早く再就職できたのではないかと感じています。

ー連続して結果が出なかった期間はどのくらい続きましたか?

書類選考が通らない日々は、半年以上続きました。最初はすぐに転職先が決まるのではと楽観的に考えていたのですが、書類選考に通らず落ち込む時もありました。

いったん選考書類を提出すると、選考結果が来るまでに約2週間かかります。当初は同時に複数社応募せず、1社応募して落ちて、また次の企業に応募して…というサイクルで転職活動をしていたので、非常に時間がかかっていました。

ヘッドハンティング型の会社を利用し始めてからは「どんどん出しましょう」ということで、同時に複数の企業に応募するようにしました。

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書類選考が通らなかった具体的な理由や要因

ー送付した書類(履歴書・職務経歴書)を振り返って、どのような点が課題だったと思いますか?

書類選考に通らなかった原因としては、やはり書類の書き方が良くなかったと思います。伝えたいことがたくさんあり、当初は盛りだくさんの情報を職務経歴書に詰め込んでしまっていました。

マーケティングでは「客観的に判断して、改善する」ということを長年やってきましたが、自分のこととなると、なかなかうまくいきません。

職務経歴書のどこが悪いのか、どのように修正すれば良いのかが分からず、効果的な書類を作れていなかったと思います。

ーその状況をどのように対処し、乗り越えようとしましたか?

第三者にアドバイスを得ようと思い、知見がある友人に相談して職務経歴書を添削してもらいました。

「シンプルで少ない文章が良い」、「前半に結論を持ってくる」等のアドバイスにしたがって修正した後は、企業からの反応が良くなりました。

このような経緯から、職務経歴書の書き方や内容は、転職活動に大きな影響を与えると感じています。転職活動を始めてから一定期間は書類選考に通らず、厳しい状態が続くこともあると思います。

しかし、そのような場合でもぶれずに、本当にやりたいことや業界を絞り込み、それに特化して転職活動を続けることが大切だと思います。

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50代転職におけるヘッドハンティング型のサービスをメリットとは

ーネットで求人を検索し、応募するケースと比べて、ヘッドハンティング型のサービスはどのような点が違いましたか?

ネット検索での求人応募は、自分で興味のある企業を探し、応募するスタイルが一般的です。一方、ヘッドハンティング型の転職活動は、プロセスが大きく異なります。ヘッドハンターが企業の採用担当者と事前に打ち合わせを行い、企業が求めるスキルや経験を明確に把握したうえで、それに合った候補者をリサーチします。

このため、ヘッドハンティングでは「自分のような人材を必要としている企業」をプロのネットワークや情報網を通じて見つけてもらえる点が特徴です。

ーヘッドハンティング型の会社からはどのようなサポートが役に立ちましたか?

職務経歴書の書き方や面接対策でアドバイスをもらえたことが、とても役に立ちました。

職務経歴書の作成では、「このように書くと良いですよ」「この部分は強調してアピールしましょう」など、ポイントをまとめたわかりやすい書類の作成方法を教えてもらえました。

自分だけだと、職務経歴書の何が良くないのか、改善点は何かということが分かりづらいのですが、担当者に添削をしてもらったことで書類通過率が格段に上がったと実感しています。

また、面接前にいただいたアドバイスもとても参考になりました。面接対策として、実際に人事担当者と会う前に、気を付けるポイントや強調すべきスキルやエピソードなどを事前に指導してもらえたため、落ち着いて面接を受けることができました。

経験がある人からのアドバイスはとても大きかったと思います。

ーフィードバックを受けて職務経歴書の書き方を具体的にどのように工夫しましたか?

職務経歴書には、自分の経歴やスキル、成功例などを盛りだくさんに書いていましたが、「シンプルで少ない文章が伝わりやすい」ということだったので、伝えたいことや強調したいことを絞りました。

例えば、ある企業に応募する際は、「いい商品をどう作るか?」というノウハウを職務経歴書の一番最初に持ってきました。

そして、「もしマーケティング責任者になったら〇〇をして、御社の業績を伸ばします」と記載しました。

「自分のスキルを生かして御社を変えていける」ということを伝えるには、応募先企業の問題点を具体的に把握して、それをどのように改善していくかという書き方が効果的です。

しかし、応募先の問題を直接的に指摘するのは印象が良くないなと思ったため、自分が担当してきた類似事例を上げて、このような問題をこう解決したというように書きました。

そうすることで応募先の会社が「自社の問題点も、成功事例のように変えてもらえるのではないか」と感じてもらえたと思います。

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今の会社ではやりがいをもって働けているか

ー以前の会社と今の会社で、違いを感じることはありますか?

現在の企業規模がそれほど大きくなく、予算も少ないため、できることが限られています。

特に、営業とマーケティングが連携しづらく、大きな目的に向かって皆がまとまって進みにくいという課題があります。こうしたギャップがあることは予測していたし、乗り越えないといけないと思っています。

特に、営業とマーケティング部の距離は課題なので、コミュニケーションをより積極的に取って縮めていくことが重要だと感じています。

しかし、私が入社した3年前と比べて、今は格段に両者の距離が縮まったと感じます。もちろんすべての問題が解決できたわけではありませんが、良くなっていると実感できています。

また、雇用形態としては契約社員なので、いつクビになってもおかしくない雇用条件ではありますが、採用してくれた今の会社に恩義を感じています。

できれば70歳まで長く働き、そのなかでしっかり期待に応えて成果を出し、会社に貢献していきたいと考えています。

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最後に

ー50代後半で転職を考えている方に向けて、ぜひ伝えたいということはありますか?

私がいた会社では、57歳・58歳の役職定年の段階で転職する人が多くいました。場合によっては、退職金を上積みするため55歳で退職しないか?と提示されるケースもありました。

転職活動を経験して感じるのは、50歳の転職は早すぎることも遅すぎることもなく、とても良いタイミングだということです。

50代は会社全体を見渡して仕事ができる年代なので、自分の能力に自信を持ってもらいたいと思います。

50代以降の経験者を採用したいという会社は、経営的に何らかの問題を抱えていて、どうにかしてそれを解決したいと考えている企業が多いと感じます。

「どうか私を採用していただけませんか」というふうにへりくだってお願いするのではなく「私はこういうスキルがあるから、貴社のこのようなところを改善できます!雇ったほうが得ですよ!」というように、ズバッと切り込んでいった方が採用担当者に響くと思います。

実際、友人でもそのようなタイプの人のほうが成功しています。

会社が抱えている、深く難しい課題には、若さだけでは解決できないものも多くあります。

経験を積んだ50代だからこそ解決できるような、そんな問題を抱えている企業と出会えれば、転職できる可能性が高くなります。ぜひ第二の人生を充実したものにするべく、頑張ってほしいと思います。

 

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