【実例あり】50歳からの転職はできる?転職を成功させる心構えと準備

50歳を過ぎると、役職定年や早期退職など、キャリアに大きな変化が訪れます。賃金の減少や転職の難易度が高まる中で、将来に不安を感じる人も少なくありません。しかし、事前にしっかりと準備を行うことで、理想のキャリアを築くことが可能です。

本記事では、50歳以降の転職市場の現状と、転職を成功させるポイントを実例交えて解説します。50歳からの転職に悩む方は、ぜひご覧ください。

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50歳以降の転職市場の現状

50歳以降の転職市場は、他の年代に比べて厳しい傾向にあります。まずは、50歳以降の転職市場の現状と、気になる年収について解説します。

50歳以降の転職は厳しく、賃金も減少傾向にある

50歳を過ぎると年齢を重ねるごとに転職が厳しくなる傾向があります。

50歳を過ぎるとポストオフになったり、仕事の責任範囲が狭くなったりと、会社内でのキャリアの折り返しを迎える方が多くいます。そのため、専門的なスキルがなければ、長期的に活躍と成長が期待できる若い人材の採用を優先する傾向が強まるのです。

さらに、50代以降の転職者は賃金が減少する傾向が明らかになっています。厚生労働省が発表した「令和5年上半期雇用動向調査結果の概要」によると、50~54歳の転職者のうち「転職後の賃金が減少した」と回答した人の割合は38.1%で、45~49歳の28.1%と比較すると約10ポイントも増加しています。

出典:厚生労働省「令和5年上半期雇用動向調査結果の概要」

上記のデータで確認しても、50歳以降の転職はますます厳しくなることがわかります。そのため、50歳を迎える前のなるべく早い段階で、次のキャリアについて検討する必要があると言えます。

その具体的な理由や選択肢については、以下で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください

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50歳の平均年収は445万円ほど

50歳以降の転職では賃金が減少する傾向がある中、そもそも50歳の平均年収はどのくらいなのか気になる方も多いでしょう。

厚生労働省が発表している「令和5年賃金構造基本統計調査の概況」によると、50〜54歳の平均月収は37万1,100円です。この月収に12ヶ月をかけて計算すると、平均年収は約445万円になります。(この調査には50歳の具体的なデータがないため、50~54歳のデータを使用)

出典:厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査の概況」

手取りをこの平均年収約445万円の75%と仮定し計算すると、手取りは約334万円です。

上記の詳しい計算方法や、50歳以降で必要な年収と生活費のバランスなどは以下の記事で詳しく解説しています。

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50歳以降の転職が厳しい4つの理由

50歳以降の転職が厳しい理由や、すぐ転職が決まらない人の特徴として、主に以下の4つが挙げられます。

  • 企業は若い人材を優先して採用するから
  • 転職チャネルや求人の選択肢が限られるから
  • 正社員にこだわるから
  • 前職と同じ賃金や高待遇を求めるから

それぞれの理由を詳しく見ていきましょう。

理由1.企業は若い人材を優先して採用するから

50歳以降の転職が難しい理由の1つは、先述の通り、企業が若い人材を採用する傾向にあることです。

多くの企業は、若い人材の成長に期待し、投資や育成を行いたいと考えています。例えば、現在ではDX化やデジタル技術の導入が進み、業務においても最新技術に対応できる人材が求められています。その際、一般的に若い人材のほうが、新しい技術に対して柔軟に適応できるでしょう。

このように伸び代があり、高い待遇を求めない若い人材に投資したいと考えるのは、経済合理性の観点から当然ともいえます。

理由2.転職チャネルや求人の選択肢が限られるから

転職先を見つけるための経路である「転職チャネル」や、求人の選択肢が限られることも、転職が難航する理由に挙げられます。

ハローワークや一般的な求人サイトでは、高年収の求人は少なく、シニア層に向けた求人も限られています。シニア向けの転職サイトや人材エージェントも存在しますが、求人の多くは飲食業や福祉業界など特定の業界や職種に偏り、ホワイトカラーの求人は少ないのが現状です。

そのため、これまで企業に勤務していた人が同様の職種で転職を目指す場合、希望する求人を見つけることが難しくなります。さらに、50代の求職者が転職する場合、最低でも年齢の2〜3倍に相当する数(100社以上など)の企業に応募しなければならないこともあります。

50歳向けの転職サイトでの求人探しの実態については、以下の記事をご確認ください。

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理由3.正社員にこだわるから

安定した収入や福利厚生を求め、正社員での雇用にこだわることも、転職が難しくなる理由の一つです。家族を養う責任や老後の生活を考えると、非正規雇用や契約社員では不安を感じることが多いでしょう。

しかし、正社員にこだわりすぎると、新しい仕事のチャンスを逃すリスクが高まります。日本では解雇規制が厳しいため、企業は採用後のミスマッチを懸念します。特に50代の採用には、慎重な姿勢を取らざるを得ません。こうした背景から、50歳以降の転職は年齢を重ねるにつれ、難しくなるのです。

言い換えると、50歳以降の転職では、雇用形態に柔軟性を持つことで採用の可能性や選択肢が広がるのです。正社員以外の雇用形態でも、スキルや経験を生かせる場は存在するため、こうした選択肢を受け入れることが、転職成功への一歩と言えるでしょう。

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理由4.前職と同じ賃金や高待遇を求めるから

50歳以降の転職では、賃金が下がる傾向にあります。そのため、前職と同じ賃金や高待遇を求めると、転職が難しくなります。

例えば、管理職として高い年収を得ていた人が、そのレベルの待遇を求めて転職活動すると、条件に見合う求人が見つからずに長期化するケースがあります。また、自己評価と市場の評価にギャップが生じ、それを受け入れないことで転職が難航することもあるでしょう。

前職と同じレベルの待遇に固執せず、転職市場の現状を理解して柔軟性を持つことが、転職成功において重要だと言えます。

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早めに転職の準備をしたほうがよい理由を実例をもとに解説

50歳以降の転職は厳しい傾向にありますが、早めに準備を始めることで成功のチャンスを広げられます。ここでは、実際に50歳以降で転職活動を行った2名の事例から、早めに転職をしたほうがよい理由を解説します。

【事例1】55歳で役職定年後、転職まで約140社に応募したFさん

Fさんは大手メーカーに34年間勤務し、55歳で役職定年を迎えました。しかし、役職定年後の仕事にやりがいを感じられなくなったため、退職を決意し転職活動をスタートしました。

ところが、転職活動で約140社に応募したにもかかわらず、不採用の連続。Fさんは「転職活動に動き始めるのが遅かった。もっと早く動き出せばよかった」と痛感したそうです。

最終的には、知人の紹介で転職しましたが、60歳で再雇用された際には、給与が激減。現在、副業で収入を補っていますが、Fさんは「早いうちにニーズのあるスキルを身につける、あるいは人脈を少しでも広げておくべき」とアドバイスしています。

Fさんの事例から、50歳を過ぎてからの転職では年齢がハードルとなり、厳しい状況に直面する可能性が高いことがわかります。早めに転職準備を行うことで、よりよい選択肢を得られ、キャリアのチャンスを広げられるでしょう。

Fさんの詳しい体験談は、以下をご覧ください。

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【事例2】評価のギャップに苦しみ、1年半転職活動が続いたCさん

Cさんは大手銀行で31年間勤務し、55歳で商社のCFOに転職しましたが、経営方針の違いから辞任。その後、転職活動を始めましたが、自己評価と転職市場の現実とのギャップに苦しみ、転職活動が難航します。

「これまでの経験を活かせばよい条件での転職ができる」と自信を持っていたCさん。しかし、届くオファーは希望する待遇とはかけ離れたものが多く、好条件の求人があっても「もっといい求人があるんじゃないか」と見送ることが多かったそうです。その結果、転職活動は1年半も長期化してしまいました。

振り返ると、市場のニーズと自分の能力のピークを考えると、50代前半までが転職の勝負時だったと感じているCさん。自己評価を市場の現実と照らし合わせ、早めに動き出すことの重要性を痛感しています。

Cさんの事例から、これまでの自己評価に固執せず、市場の評価を受け入れて柔軟な姿勢で転職活動を進めることが大切だと言えるでしょう。

Cさんの体験談を確認したい方は、以下よりご一読ください。

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50歳以降の転職を成功させる3つのポイント

以下では、50歳以降の転職を成功させるためのポイントを3つ紹介します。

  1. 職務経歴書を定期的に更新する
  2. 企業選定の選択肢を広げる
  3. 社外での交流を図り、人脈を広げる
  4. 情報収集を徹底する
  5. 希望年収を下げる

1.職務経歴書を定期的に更新する

転職活動を成功させるには、職務経歴書の内容を定期的に見直し、更新することが大切です。その際、単に社内での役職や部署異動の履歴を記載するのではなく、具体的な成果や実績を振り返り、アピールポイントを書きます。

例えば「売上を前年より〇%達成」や「プロジェクトリーダーとして、〇%のコスト削減に成功」といった具体的な数字や成果を記載しましょう。客観的な能力やスキルをアピールでき、採用担当者の目に留まりやすくなります。

加えて、更新した職務経歴書を転職サイトなどに公開し、どれくらいの反応があるかを確認することもおすすめです。自分のスキルが市場でどれほど評価されるかを体感でき、転職活動の戦略を立てやすくなります。

2.企業選定の選択肢を広げる

50歳以降の転職では「大企業に転職」などのこだわりを捨て、中小企業やベンチャー企業、外資系企業など、企業選定の選択肢を広げることがポイントです。

企業規模別のシニア採用の特徴は、次の通りです。

▼企業規模別のシニア採用の特徴
中小企業:人手不足の傾向があり、年齢問わず採用する企業もある
大企業:中高年人材は充足しているため、採用は厳しい
外資系企業:成果主義のため、実績があれば年齢問わず採用される

中小企業や外資系企業は、実務経験やスキルを重視するため、年齢に関係なく重要な役割を任せられることもあります。特に外資系企業は実力主義の文化が根付いており、語学力に加えて実績や成果が認められれば年齢を問わず採用されることが多いです。

一方、大企業では50代の転職は厳しい傾向にあります。中高年の人材が充足していることから、ポジションが限られていることが多いためです。自分のスキルや経験を活かせる企業を見極め、企業の選定軸を柔軟に設定することが大切です。

3.社外での交流を図り、人脈を広げる

50歳以降の転職成功には、社外での人脈作りも重要です。今からでも社外のネットワークを築いておくことで、セカンドキャリアの選択肢を広げられます。

例えば異業種交流会に参加することで、人脈を広げることができ、そこから仕事につながることもあるでしょう。

そのほかにも知り合いの経営者から副業で仕事を受けているうちに正社員として採用されることもあります。知り合いの経営者に「何か手伝えることはありませんか?」と声をかけてみるのもよいでしょう。

このようにコツコツと人脈形成に取り組むことで、転職の成功につながります。

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4.情報収集を徹底する

気になる会社を10社程度に絞って応募するよりも、企業の選択肢を中小企業まで広げて100社以上の企業に応募することをお勧めします。

各企業との選考を通じて、業界の動向や求められる人材像、自分自身の市場価値などについて知ることができます。

また、中小企業に転職した先輩や知人からの一次情報の獲得も極めて重要です。中小企業特有の文化や、大企業とは異なる仕事の進め方、年齢に関係なく活躍できる環境の実態などを知ることができるでしょう。

5.希望年収を下げる

多くの方が前職の年収を基準に希望額を決めがちですが、これは必ずしもベストな方法とは言えません。むしろ、現在の生活水準を基準にして希望年収を設定することをお勧めします。

50代以降の転職では、前職の年収の基準にこだわりすぎると、応募できる求人の幅が狭まってしまう可能性があるため、年収に対しても柔軟な姿勢が求められます。

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50歳以降のキャリアを構築する際に必要な心構え

50歳を過ぎてからのキャリアを成功させるためには、柔軟な心構えが重要です。ここでは、50歳以降のキャリアを構築する際に必要な心構えを3つ紹介します。

  • 業務委託という選択肢も視野に入れる
  • 成長フェーズの企業への転職も検討する
  • 自分の価値観や仕事の基準を明確にする

業務委託という選択肢も視野に入れる

50歳以降のキャリア構築では、雇用契約にこだわらず、業務委託という柔軟な働き方も検討することが重要です。

業務委託契約は、年齢に縛られずに働けるメリットがあります。企業は課題を解決してくれる「解決策」を提供できる人材を求めているため、年齢にかかわらず、スキルさえあれば仕事を受注できるのです。

複業を募集するサイトに登録して案件に応募したり、すでに所属している会社と交渉して業務委託として働くケースも多くあります。

成長フェーズの企業への転職も検討する

50歳以降のキャリアを築く際には、成長フェーズにある中小企業への転職も検討することも有効です。成長途中にある企業では、常に人手不足で、かつ役職定年や定年退職などの制度がない企業も多くあります。

ただし成長企業では新しい業界で事業を展開していることが多いため、柔軟性や学習意欲が求められる傾向にあります。

そのため、自分の価値観や適性を考慮して、成長フェーズの企業への転職を視野に入れることをおすすめします。

自分の価値観や仕事の基準を明確にする

キャリアプランを立てる際には、自分にとって何が重要かをよく考え、優先順位を決めることが大切です。

単に高い年収を求めているのか、仕事にやりがいを感じたいのか、それとも長期的に安定して働ける環境を重視しているのかなど、様々な要素があります。

これらの優先事項を事前に決めておくことで、より明確な目標を立てることができます。ただし、個人の家庭環境や財政状況、例えば抱えているローンなどによって、優先すべき項目は変わってくる可能性があります。自分の状況を総合的に考慮しながら、将来のキャリアにおける重要事項を見極めていく必要があります。

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「そのうち準備を始めよう」では遅い。

特に50代以降の転職準備においては、「タイミングが来たら始めよう」という考え方はおすすめしません。50代以降の転職の準備は早ければ早いほど有利になります。周囲の人々が転職を始めたり、会社が早期退職の募集を開始したりしてから行動を起こすのでは、すでに手遅れとなる可能性が高いのです。

そのため、少しでも転職を考えている方は、今すぐにでも準備を始めることをおすすめします。早い段階から準備を始めることで、より多くの選択肢を確保し、自分にあった転職先を見つける可能性が高まります。

転職に関する相談や疑問がある場合は、いつでもBEYOND AGEにご連絡ください。理想のキャリアステップを一緒に作っていきましょう。

 

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