50歳から働き方を変える必要がある?3つの理由を詳しく解説

50歳以降は役職定年や早期退職、また定年退職など、仕事の状況が大きく変わるタイミングともいえます。

なかには環境の変化を受けて仕事にやりがいを感じず、「自分らしい働き方を実現したい」と考える人もいるでしょう。

こちらの記事では、50歳から働き方を変えるべき理由や、セカンドキャリアを成功させるためのポイントを紹介します。

50歳から働き方を変えるべき理由

「人生100年時代」とも言われる中、50歳という年齢は折り返し地点であり、今後充実したキャリアを築くために、最適な転身のタイミングであるとも考えられます。ここからは、50歳から働き方を変えるべき理由について解説します。

50歳以降の転職活動は、より一層厳しくなる

50歳以降の転職は、歳を追うごとに厳しくなる傾向にあります。50歳までは企業側は「60歳の定年まで、あと10年以上働いてもらえる」と考え、採用のハードルはそれほど高くありません。

ところが、50歳を過ぎたあたりから「ピークが過ぎた」という印象が強くなり、よほどの経験やスキルがなければ、若手人材を優先して採用する企業がほとんどです。

また、2020年に厚生労働省が発表している資料によると、50歳以降転職をすると、転職後の賃金が減少する傾向があり、55歳を超えるとさらにその傾向は顕著になります。

出典:厚生労働省「令和5年上半期雇用動向調査結果の概要」

「転職の難易度」や「転職後の条件面」を考慮すると、50歳前後の早い時期から、転職活動をスタートさせたほうが良いと言えるでしょう。

50歳になるとキャリアの限界が見える

50歳になると、定年退職までのキャリアに限界を感じる方も多いでしょう。若い世代と違い、大きな出世が見込めなくなるためです。例え役職についたとしても、日本企業では55歳で役職定年となるケースが多くあります。

もし50代のうちに転職を希望する場合は、役職定年になる前に転職活動を始めることをおすすめします。役職があり市場価値が高いうちに転職活動を始めることで、より良い条件で転職できる可能性があります。

仕事に対して働きがいを求めるようになる

50歳を過ぎると仕事の責任の範囲が大きく変化する方もいらっしゃいます。また、ライフステージにおいても、子育てや住宅ローンの返済が一段落する方も多く、経済的な負担が軽くなる年代でもあります。

このような背景から、多くの50代の方が、これまで金銭的な報酬や社会的地位のために働いてきた状況から、「何のために働くのか」と悩む方も少なくありません。最終的には仕事に対して「やりがい」を求めるようになります。

シニアの独立に関する意識調査でも、独立・企業を決意した理由として「やりがいを求めていたから」という解答が最多となっています。

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50歳以降の働き方はどのような選択肢がある?

50歳以降の働き方における主な3つの選択肢について解説します。

転職して新しい会社に就職する

1つ目はこれまで培ったスキルや経験を活かし、新しい会社へ転職するという選択肢です。とはいえ、先述したように50歳を過ぎてからの転職は、採用されやすさや待遇面においても、より一層厳しくなります。

50代で転職を成功させるポイントは、次のとおりです。

  • 早期に転職活動を始める
  • 自分の市場価値を客観視する
  • 妥協するラインを決める

50代前半など役職がまだ残っている状態で転職するべきです。役職定年を迎え、ポストオフになると、転職市場での評価が一気に下がってしまいます。

また、長年同じ会社に勤めていた方は、勤めてきた企業内での評価と、実際の転職市場でのギャップが大きくショックを受けることもあるでしょう。

しかし、自分の等身大の市場価値を見極めた上で、仕事内容や報酬などを決めましょう。また、正社員にこだわらず、契約社員という働き方を検討するのもひとつです。企業側にとっても、正社員を雇用するよりハードルが低く、採用される可能性が高まります。

独立して個人事業主になる

仮に正社員で転職できたとしても、転職先にも早期退職制度や定年退職制度がある可能性も高く、その度に再度転職を検討する必要があります。

年齢に縛られることなく、イキイキと働き続けるために、個人事業主という働き方もおすすめです。実際に、シニアの独立に関する意識調査を実施したところ、9割以上の方が「独立後の現状に満足している」と答えています。

とはいえ、個人事業主として成功するには、会社員時代からの準備が欠かせません。今まで培った経験やスキルが社外でも通用するか、あらかじめ検証しておく必要があります。

独立前から広い人脈を作り、「営業・マーケティング支援の事業を考えています。」「技術系コンサルティング事業を展開する予定です」と公言することで、相手の反応から、市場でのニーズを予測することができます。

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定年退職後、再雇用として働く

定年退職後、多くの方が「再雇用」という働き方を選んでいます。環境の変化が少なく、転職活動の必要もないという理由から選択されている方が多いかと思います。実際に、日本経済新聞の調査でも、6割以上の方が定年前と同じ会社での仕事を選んでいるという結果が出ています。

ところが、再雇用には、次のような問題点も起こりえます。

  • 年収が激減する
  • 仕事へのモチベーションが下がる
  • 周りから煙たがられる

再雇用前と仕事内容は変わらず、給与だけ減額というケースも考えられます。不満や後悔などネガティブな気持ちになれば、仕事へのモチベーションも下がるでしょう。また、以前の部下が上司になるなど、「やりにくいな」という状況で働くことになるかもしれません。

そのため、再雇用前から副業を始めるのもおすすめです。再雇用で働く社員に対して副業を許可している企業も多く、副業で仕事を受けながら人脈を広げ、将来的に独立につなげるキャリアプランも検討してみましょう。

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参考:

日本経済新聞「給料4~6割減が過半、定年後再雇用の厳しい現実

50歳以降のセカンドキャリアを考える際のポイント

早期退職後に後悔しないために、セカンドキャリアについてしっかりと見通しを持っておくことが大切です。退職前からできる準備として、大きく次の7つを紹介します。

退職後のキャリアプランを明確にする

50歳以降のセカンドキャリアを成功させるためにも、入念なプラン設計が欠かせません。まず、経験や専門知識を活かせる分野を特定し、来たる退職のタイミングに備えて、どのような準備をするべきか逆算する必要があります。

経済面においても、年金や貯蓄を踏まえた収入計画を立てることが大切です。退職後の生活費を具体的に算出し、必要な収入を明確にしましょう。また、予期せぬ出費や長寿リスクに備えて、適切な資産運用や保険の活用を検討することも重要です。

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履歴書・職務経歴書を定期的にブラッシュアップする

経験や実績を効果的にアピールするためにも、履歴書と職務経歴書を常に最新の状態に保っておくのがおすすめです。

最低でも毎年1回は見直し、新たに獲得したスキルや達成した成果を追加します。また、業界のトレンドや求められるスキルの変化に注意を払い、経歴をそれに合わせてアップデートするのも有効です。

ブラッシュアップした職務経歴書を、転職サイトやLinkedInなどに登録して、実際にスカウトが来るか検証してみても良いでしょう。リアルな自分の市場価値を確かめることができます。自分の市場ニーズを客観視する機会は、キャリアプランの見直しにも役立ちます。

 
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市場価値が高いうちに退職に踏み切る

日本企業の多くが、55歳を役職定年の基準としています。この年齢をひとつの目安としてセカンドキャリアの計画を立てるのがポイントです。

50代前半は、通常、経験と社内での権限が最も充実している時期です。この時期に培った人脈やスキルは、セカンドキャリアにおいて大きな武器となります。55歳を待たずに自主的に転身することで、より良い条件で再就職や起業の機会を掴みやすくなります。

ただし、見切り発車は禁物です。2〜3年前から、市場調査や新しいスキルの習得、人脈作りなど、計画的に進めましょう。

成長フェーズの企業に転職する

50歳以降、成長フェーズにある中小企業に転職するのもおすすめです。大企業は50、60代の社員の退出を望む傾向があり、大企業の転職先を見つけるのが困難です。仮に大企業に転職できたとしても、近い将来再び役職定年や定年退職の問題に直面するかもしれません。

一方、中小企業は常に人手不足であり、役職定年や再雇用制度を設定していないことも多々あります。大企業よりも求人数が多く、今後のキャリアの選択肢も広がるでしょう。成長フェーズにある企業では、豊富な経験を活かせる機会が多く、重要な役割を任されることも期待できます。「年齢に関係なくバリバリ働きたい」という方は、中小企業への転職に照準を合わせていくと良いでしょう。

ただし、変化への適応力と学習意欲が求められることも多いため、自分の価値観や目標に合う企業を慎重に選ぶことが大切です。

満足できる仕事の基準を把握する

50代でセカンドキャリアを充実させたいなら、まず自分にとって「理想の仕事」とは何かをはっきりさせましょう。お金だけじゃなく、今までの経験から得た仕事への考え方や大切にしたいことを見直してみてください。「これが一番重要」というものを見つけることが大切です。

得意なことを活かせる仕事や、新しく挑戦したい分野も考えてみましょう。これらのことをじっくり考えれば、「自分に合った仕事」がどんなものかが見えてきます。そうすれば、より自分に合ったキャリアを選べるはずです。

健康的な生活を送る・体調を整える

健康的な身体こそが、定年退職後の充実した職業生活を支えてくれます。気力や体力を維持するためにも、次のような点を意識した生活が重要です。

  • 定期的な運動
  • バランスの取れた食事
  • 十分な睡眠

毎日のウォーキングや軽いジョギングなど、定期的な運動を無理なく続けることが大切です。また、栄養バランスの取れた食事を心がけ、特に野菜や魚、全粒穀物を積極的に摂取しましょう。7時間以上の睡眠をしっかり取ることで、身体の回復とストレスを軽減できます。

こうした健康的な生活は、採用側にとっても魅力的に映り、就職活動を有利に進める鍵となります。

社外で人脈作りをする

セカンドキャリアでの独立・起業を考えている方は、安定して仕事を獲得していく必要があります。そのためにも、会社員として働いているときから、社外での「弱いつながり」を作っていくことが重要です。

スタンフォード大学の ”Strength of Weak Ties”(弱い絆の強さ)という論文によると、多方面での弱いつながりを保つことは、仕事の獲得に大きな影響を与えるとわかっています。

具体的には、さまざまな業界の勉強会や地域のビジネスイベントに参加し、幅広い人脈を築くことです。その際、自分のスキルや経験を記載した名刺を作成しておき、積極的に配布するのも有効です。LinkedInなどのビジネスSNSを活用しても良いでしょう。

参考:

Stanford sociologist Mark Granovetter:The strength of weak ties | Stanford Report

50歳以降やりがいをもって働き続けるために必要なこと

50歳以降になると、金銭面や役職よりも、「やりがい」を求める傾向があります。ここからは、仕事にやりがいを持って働くために必要なことを紹介します。

なるべく早くから行動を起こすこと

50歳以降もモチベーションを維持して働くには、早期に行動を起こすことが重要です。

全国の50〜69歳の男女800人を対象に実施した調査によると、「働き続けたい」と考える人は77.8%にのぼる一方で、実際に何かしらの行動を起こしている人はわずか10人に1人に過ぎません。また、「体力面」や「我慢して仕事をすること」に対して不安を感じている人は、7割以上を占めています。

いつまでも元気に働き続けるために、遅くとも50歳前後には、次のような準備をしておくと良いでしょう。

  • 知識やスキルのアップデート
  • 体力維持のための健康管理
  • キャリアプランの明確化

上記のポイントを意識しながら、将来の目標を具体的に描き、少しずつ行動に移していくことが大切です。

参考:

【BEYOND AGE調査レポート】シニア期に働き続けたい人は約8割、行動している人は10人に1人!

自分の経験を活かせる職種に就くこと

これまでの経験やスキルを活かせる職種に就くことで、セカンドキャリアで成功する確率が高まり、やりがいを持って働きやすくなります。

過去の経験や知識を元に、どの職種が自分に合っているか、しっかり検討しましょう。専門のキャリアカウンセラーに相談し、自分の強みを最大限に活かせる職種を提案してもらうのも有効です。

目先の年収や待遇にとらわれない

50歳以降に働き方を変える場合、目先の年収や待遇にとらわれないことも重要です。短期的な条件に焦点を合わせると、本当にやりたいことや長期的な成長の機会を見逃してしまうかもしれません。

具体的には、以下のポイントを押さえると良いでしょう。

  • キャリアの目的を明確にする
  • 学び続けられる環境を重視する
  • 仕事の満足度を考える

収入だけでなく、どのような仕事にやりがいを感じるかを明確にし、満足できる仕事内容の職場を選びましょう。また、新しいスキルや知識を学び続けられる環境であれば、仕事に対する充実感が高まり、仕事に対する意義を感じやすくなります。

年収や待遇にとらわれず、自分のキャリアの目的や長期的な満足度を重視することで、より充実したセカンドキャリアを築けるのです。

50歳、60歳はまだまだ働き盛り

人生100年時代、50歳や60歳はまだ働き盛りの時期です。多くの人が自分のキャリアを過小評価しがちですが、実際にはこれまでの経験が大いに活かせる場面はたくさんあります。

また、早期のうちに今後のキャリア・プランを明確にしておくことが重要です。退職前から、次のステップへの準備を着実に進めておくことで、セカンドキャリアを成功へと導くことができるのです。

 

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