50代向けの転職サイトで希望の職種は見つけられるのか?実態を徹底解剖

大企業をはじめ、早期退職者を募集する企業が増えてきた昨今、定年退職前に転職を検討する50代の方も増えてきました。

しかし、転職を始めた方はすでに感じられているかもしれませんが、希望する就職先になかなか出会えないという現実があります。

結論から伝えると、50代の転職は非常に厳しく、求人への応募数は、最低でも年齢の倍の数が必要になるなど、行動量の担保が求められます。また、必死になって見つけた求人から応募し、書類選考を通過するものの、面接に受からなかったり、内定をもらえたものの、待遇が悪かったりと、転職においてあらゆる難関が存在します。

それらを認識した上で、今回は50代向けの転職サイトについて紹介します。また50代向け転職サイトと謳っているサービスがどのような職種の求人を公開しているのかについて、わかりやすくグラフを活用して解説します。

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※記事中で紹介しているグラフは2023年10月時点のデータです。

転職サイトと転職エージェントの違いについて

50代になって初めて転職する方も多いかと思います。転職する際には「転職サイト」や「転職エージェント」といったサービスを使うことになりますが、それぞれの違いについて理解することで、より効率的に転職活動を進めることができるかと思います。

転職サイトとは

転職サイトとは、サイト内で求人を掲載しているサービスのことです。リクナビやマイナビなどが有名ですが、それ以外にも業種や業界などに特化した転職サイトが数多く存在します。

一般的に一つのサイトに幅広い求人が掲載されているため、ご自身で業界や職種、希望条件などを選択して求人を絞り、自分にあった求人を見つける必要があります。

転職エージェントとは

転職エージェントとは、一般的に求職者にキャリアアドバイザーがつき、求職者が求める仕事の条件や過去の経験を確認し、その条件にあった企業を紹介してくれるサービスです。

仕事選びから面接の調整、入社までをバックアップしてくれるため、効率的に転職活動を進めることができます。一方で、自分で探せる転職サイトとは違い、転職エージェントは紹介される企業に偏りが発生することもあるため、転職サイトと転職エージェントをそれぞれ使い分けることで、効率的に仕事を探すことができます。

今回は50代向けの転職サイトを中心に紹介します。

50代向け転職サイトの特徴を解説

マイナビミドルシニア

※マイナビミドルシニア東京のデータから作成
※グラフは2023年10月時点でのデータを表示
※地域は東京、雇用形態を「正社員」に絞った際の職種別データを表示

マイナビミドルシニアは40代〜60代を対象とした転職サイトです。

シニア層に特化している転職サイトの中では、最も求人が多いのが特徴で、求人数の多さから様々な業界や業種を比較することができます。

注意点として、例えばマイナビミドルシニア東京では、2023年10月時点では、40,000件以上の求人がある中で、正社員の求人は400件ほどと数が非常に限られています。正社員での転職を希望する場合は、理想の求人を見つけるまでに時間がかかる可能性があります。

また、医療・福祉や飲食に分類される仕事が多く、ホワイトカラーの求人は少ないため、企業勤めの方がこれまでと同じような仕事で転職する際には、求人を厳選する必要があると考えられます。

運営会社:株式会社マイナビミドルシニア
サイトURL:https://mynavi-ms.jp
求人数:20万件
対応職種:全職種
対応地域:全国

FROM40

※FROM40のデータから作成
※グラフは2023年10月時点でのデータを表示
※雇用形態を「正社員」に絞った際の職種別データを表示

FROM40は40代、50代の転職に特化した転職サイトです。FROM40には、サービスに登録して自分のプロフィールを記載しておくことで、企業側からスカウトを受けられる「スカウト機能」があります。

FROM40の求人の職種の割合を見てみると、8割以上が福祉系となっておりますが、それ以外の特徴として、技術系(IT・通信)の職種の割合が他の転職サイトと比べて大きい点が挙げられます。

これまでIT・通信業界で勤めていた方は、まずはFROM40に登録してみるとよいかもしれません。その一方で、それ以外のホワイトカラーの職種を希望している方は、限られた求人数から探す必要があります。

運営会社:株式会社ダトラ
サイトURL:https://www.from-40.jp/
求人数:16,847件
対応職種:全職種
対応地域:全国・海外

シニアジョブ

※シニアジョブのデータから作成
※グラフは2023年10月時点でのデータを表示
※雇用形態を「正社員」に絞った際の職種別データを表示

シニアジョブは50代でも活躍できる求人を扱っている転職サイトです。しかし、こちらも医療・福祉関連や建築関連が半数以上を占めております。

一方で、士業や金融に関する専門職の求人も少数ではありますが掲載されているので、これまで培った士業、金融、不動産などの専門分野を活かして転職を検討されている方はシニアジョブに登録をしてみるとよいでしょう。

しかし、他の転職サイトと同様に大半は医療、福祉関連や建築関連の求人なので、ホワイトカラーの求人を探す際には限られた数の中から選ぶことになります。

運営会社:株式会社シニアジョブ
サイトURL:https://corp.senior-job.co.jp/
求人数:6044件
対応職種:全職種
対応地域:全国

OKジョブシニア

※OKジョブシニアのデータから作成
※グラフは2023年10月時点でのデータを表示
※雇用形態を「正社員」に絞った際の職種別データを表示

OKジョブシニアは、40代〜60代を対象にした転職サイトです。OKジョブシニアではサービス業、介護福祉の求人が半数以上を占めており、こちらも他と同様にホワイトカラーの仕事を続けたい方にとって、希望の仕事を見つけることが難しい可能性があります。

サービス名:OKジョブシニア
サイトURL:https://sr.okjob.jp/
運営会社:OKジョブ株式会社
求人数:9,800件
対応職種:全職種
対応地域:全国

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50代以降で転職を検討する際に留意すべきこと

以下では転職を検討されている方が留意すべきことについて説明します。

50代向けの転職サービスだからといって、理想の転職先が見つかるわけではない

今回紹介した転職サイトの特徴を見て、「医療・福祉の仕事がほとんどだ」、「希望職種が掲載されている転職サイトがない」と感じた方も多いのではないでしょうか。

もちろん、「医療・福祉」を次の仕事に選ぶ方も多くいらっしゃるでしょう。現代日本にとって必要不可欠な仕事であると同時に人材が不足している業界であり、そのような業界で働き手が増えることは社会にとって望ましいことでもあります。

一方で、ホワイトカラーのような仕事を転職後もそのまま続けたいという方にとっては、転職サイトから希望する就職先を見つけることは、皆さんが想像する以上に難しいことかもしれません。

また厚生労働省の調査によれば、50歳以降で転職すると給料が下がりやすい傾向にあるとされており、運よく転職できたとしても、納得のいく条件で転職できるとは限りません。

参考:厚生労働省「-令和2年雇用動向調査結果の概況- 」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/21-2/dl/gaikyou.pdf

人によっては求人への応募数は100社以上必要になることもある

50代以降の転職はかなり厳しいといえますが、そのような状況で少しでも成功確率を上げるためには量をこなすことが重要です。

年齢を重ねるにつれて、転職の難易度は増していきます。書類選考を通過することさえも難しく、やっとの思いで面接に進んでも内定をもらえないケースがほとんどなのです。

そのため、内定を獲得するというのが目標であれば、求人を厳選するよりも、応募する量を意識しましょう。

内定までに必要な応募数は人それぞれですが、最低でも年齢の2〜3倍の応募数を確保する必要があり、それでも転職先が決まらない場合もあります。それほど応募しなければなかなか内定が出ないというのが50代の転職の厳しい現実です。

「企業は求人票に年齢を書いてはいけない」という決まりがもたらす影響

このような事態が起きている要因の一つとして、企業は年齢を求人票に書いてはいけないという決まりがあります。「実際に企業は40代の求職者を求めているのに対して、50代の人が応募してくる」という状況なのです。これが原因で、応募書類の通過率が低くなっていると考えられます。

求人票に年齢を記入できないのは、中高年の再就職を妨げることなく、年齢にかかわらず就職に対して平等な機会を与えるために、2007年に厚生労働省が定める雇用対策法により条件が加えられたことが理由です。

そのため、基本的にはどの求人も年齢を記載せずに公開することが前提となっています。

採用される確率を少しでも上げるためには?

一方で、採用される確率を上げる方法はいくつかあります。

例えば、人材紹介サービスを経由する場合、企業は高い手数料を支払う必要があるため若い人材を優先的に採用することが多いですが、企業に直接応募すれば、企業は手数料を支払う必要がないので、内定をもらえる確率は上がります。

また、再就職支援サービスを利用すると、人材を送り出す側の企業が費用を負担するため、採用する側の企業は無料で人材を採用できることになります。これにより、企業としては採用のハードルが低くなり、内定をもらえる確率が高まります。

以下の記事では、50代以降の転職がなぜ厳しいのかについて詳しく説明していますので、ぜひご一読ください。

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