かつて「定年=引退」という考え方が一般的でしたが、人生100年時代を迎え、定年後も働き続ける人が増えています。
健康寿命が延び、経済的な理由や生きがい、社会とのつながりを求める声が高まる中で、シニア世代の働き方は多様化しています。
この記事では、定年後の仕事の現状や多くのシニアが働くことを選ぶ理由、定年後の働き方の選択肢、そして長く充実したキャリアを築くために重要な点について掘り下げていきます。
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「定年後の仕事」の現状とは

総務省統計局の労働力調査によると、65歳以上の就業者数は過去10年間で約1.4倍に増えました(2013年636万人 → 2023年914万人)。特に65〜69歳の就業率は右肩上がりで、2023年には52.0%と過去最高を記録しています。
この背景には
- 短時間労働者への社会保険・雇用保険の適用拡大(2022・2024年改正)
- 65歳超雇用推進助成金など高齢就業を後押しする政策
といった要因があると考えられます。
また、これらの要因に加え、高齢者の就業意欲が高まっていることや、労働力不足に対応するための企業側の需要も背景にあります。
多様な働き方の選択肢が増え、リスキリングやキャリアシフトを支援するサービスも拡充されていることから、今後も高齢者の就業率はさらに上昇する可能性があります。
参考:
総務省統計局「労働力調査 2013年(年平均)結果」
総務省統計局「統計からみた我が国の高齢者 ―統計トピックス No.142―」
厚生労働省「65歳超雇用推進助成金のご案内」
厚生労働省「社会保険適用拡大 Q&A(企業・事業主向け)」
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なぜ定年後も働くのか? 年金不安・生きがい・社会参加で高まる就業意欲

「定年退職後は悠々自適な生活を送りたい」と考えている人も多いでしょう。しかし、現在では定年退職後も働き続ける方が多くいらっしゃいます。
実際、マイナビキャリアリサーチLabの調査では、60代の35.5%が「70歳を超えても働きたい」、70代の46.5%が「75歳まで働きたい」と回答しました。年齢が上がるにつれ就業意欲が高まっていることが伺えます。
その理由の上位は「生活費の補填」、「健康維持」「生きがい」、「社会との接点」が挙げられています。
定年後の仕事は多くのシニアにとって、ただの稼ぐ手段ではなくウェルビーイング向上の手段として定着しつつあります。
参考:
マイナビキャリアリサーチLab「ミドルシニア/シニア層のアルバイト調査(2024年)」
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定年後の働き方4タイプ「再雇用・パート・フリーランス・起業」のメリット/デメリット

「定年後も働きたい」と思ったとき、最初に迷うのが「どの働き方を選ぶか」でしょう。以下では代表的な4タイプを整理し、働き方や収入イメージなどを軸に比較します。
働き方によって必要な手続きや収入構造、時間の拘束度は大きく異なります。まずは4タイプを俯瞰し、自分のライフスタイルと照らし合わせてください。
働き方 | 収入イメージ | 主なメリット | 主な留意点 |
再雇用 | 月25〜40万円 | 馴染みのある環境で働くことができる | 定年前と比べて大幅に賃金が下がる場合が多い |
アルバイト | 月10万円前後 (時給1,200円で月85時間働いた場合) | 働く場所・時間を柔軟に決めることができる | 大きな収入は見込めない。軽作業の仕事が多く、経験を活かしにくい |
フリーランス(個人事業主) | 月数万~数十万円 (スキル経験によって変動) | 経験・スキル次第で高収入が実現可能 月100万円以上稼ぐケースもある。 | 顧客開拓が必要会計処理なども自分で行う必要がある |
法人設立をして起業 | 業績次第 (スキル経験によって変動) | 経験・スキル次第で高収入が実現可能 人を採用し仕組み化に成功すれば大幅な収益増が可能 | 事業立ち上げ経験や顧客開拓が必要会計処理などもフリーランスと比べて複雑 |
再雇用
再雇用では一般的に「給与が現役時の6〜7割に低下する」と言われていますが、一方で社会保険・福利厚生が継続するメリットもあります。
また再雇用で働きながら副業をはじめて、数年以内に独立するという方もいらっしゃいます。
将来、独立を見据えている方は再雇用で働きつつ副業の仕事を探して、その案件を大きくしていく選択肢も検討してみましょう。
アルバイト
アルバイトは「短時間×自宅から最寄り」で働くことができ、通勤負担が少ないのがメリットです。
雇用契約がフレキシブルな反面、厚生年金・雇用保険の適用外ライン(週20時間未満・月額賃金8.8万円未満)に注意が必要です。
フリーランス
フリーランスは特定の会社や団体に属さずに業務を行う「働き方」を指す言葉です。
複数の企業から仕事を受けて働くことができるため、報酬単価が上がる分、営業・経理も自己完結しなければなりません。
一方、フリーランスはスキルや経験をもとに仕事を受託するため、年齢に縛られない働き方を実現できます。
年齢に縛られず、長く働きたい方はフリーランスとして働いてみるのも良いでしょう。
法人を設立して起業
ここでの「起業」とは、会社を設立し、事業を立ち上げて拡大していくことを指します。定年後の起業の場合、長年の経験を活かして起業する方も多く、人脈などを通じて事業を軌道に乗せることも可能です。
一方、定年後の起業において特に注意したいのは、退職金のほとんどを事業資金として投じる場合です。
たとえば、「若い頃の憧れだった自分のお店をオープンしたい!」と、全くの未経験にもかかわらず、いきなり多額の開店資金を投入するのは、リスクが高いので注意が必要です。
定年後、起業する場合には、成功確率の高い、これまでのキャリアや知識が活かせる分野での起業を検討することが重要となります。
また起業する際には日本政策金融公庫のシニア起業家向けの融資を活用してみるのも良いでしょう。
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定年後でもこれまでの経験を活かせる仕事とは

以下では定年後でもこれまでの経験を活かせる職種を紹介します。
営業力を活かして営業顧問として活躍
営業の経験がある方は定年後も比較的活躍しやすいといえます。現役時代に培った営業スキルや人脈を活かして、営業顧問や営業コンサルとして独立するケースもあります。
また、オンライン商談が一般化したことで地方在住でも首都圏企業に対して営業を行うことができ、案件が順調に獲得できれば十分な収入も期待できるでしょう。
BEYOND AGEでは企業向けに顧問支援サービスを提供しており、シニアの営業経験者を積極的に募集しております。顧問業を初めてする方でも安心してご利用いただけます。
また「いきなり顧問として独立するのは不安だ」という方は、独立準備から案件獲得するまで伴走する「独立伴走アカデミー」も提供しております。
こちらもあわせてご確認ください。
マネジメント・人材育成の経験を活かして企業向け研修講師として活躍
マネジメントや人材育成の経験をお持ちの方は、そのマネジメントスキルを活かして企業向け研修講師としても活躍することができます。従来の対面研修に加え、最近ではオンライン形式の研修も増えており、場所に縛られずに柔軟に仕事を進めることが可能です。
例えば、以下の事例記事では、65歳で独立し、講師として新たなキャリアを築かれた方の実例も紹介しています。
よりよい将来に向け、独立に踏み切る50~60代のビジネスパーソンが増えています。独立のハードルは昔より低くなっていますが、その一方で定期収入がなくなる、顧客獲得に自信がないなどの不安から決断できない人が多いことも事実です。 &n[…]
これまでの経験を活かしフリーランスコンサルタントとして独立
またこれまでの経験を活かしてフリーランスコンサルタントとして独立することも可能です。
長年の実績があるベテランが、定年後の再雇用で同じ仕事内容なのに給与が減額されることに、納得がいかないと感じる人も多くいます。
しかし、社外に出ると、そのような長年の経験が評価され、仕事の依頼につながることも少なくありません。
以下の記事では、長年大企業で働いた後に、独立した方の事例を紹介しています。
事例①
東京学芸大学卒。オリコム、博報堂にて広告・イベント業務を担当し、社内起業も経験。独立後、株式会社分室西村を設立。企業の顧問として広告・経営支援を行いながら、「会社の看板がなくても通用するか」を常に意識し、個人としての信頼と行動力で活躍の場を広げている。
「会社の看板がない状態でどこまで通用するのか。」これは50、60代で独立を検討している多くの方が感じる懸念点かと思います。 今回取材したのは株式会社オリコミ(現株式会社オリコム)、博報堂に勤務し、社内起業の経験もある株式会社分室西村[…]
事例②
東京大学卒業後、博報堂に入社。九州支社でアジア展開に携わり、東京本社では「博報堂大学」「こどもごころ製作所」を立ち上げる。30年超のキャリアを経て独立。Sコンサルティングを設立し、経営・事業開発・商品開発の支援を行う。「目に見えない価値」に向き合う姿勢が信頼を集めている。
独立を検討している50、60代の方の中には、「独立後はやりたい仕事ができるのか」と不安に感じる方も多いかと思います。 今回、お話いただいたのは、30年以上にわたり博報堂に勤務し、マーケティングやコンサルティング担当を務め、当時話題を[…]
事例③
三洋証券、キーエンス、三井住友海上を経て2015年に独立。「人と人をつなぐ」活動を通じて経営者から信頼を集め、独立後わずか3ヶ月で30社と顧問契約を締結。現在は代表世話人株式会社の代表として、数十社の経営課題解決を支援し続けている。
独立を考えられている50、60代の方の中には、「独立しても顧客を見つけられるのだろうか」と不安に思う方も多いかと思います。 今回の取材では、独立後3ヶ月以内で30社と顧問契約を結ぶなど、普通では考えられない結果を出している杉浦さんに[…]
社会とのつながりを持ちながら週に数日だけ働く
週3日のシフトでも月10万円前後の収入が確保でき、働く場所も自宅の最寄りなど柔軟に選ぶことができます。
実際に体を動かすことも多く、健康づくりにも役立つと考える方もいらっしゃいます。
実際に日本経済新聞でも元執行役員からマンション管理員に転職された方の事例が掲載されています。住民と会う機会も多く、社会とのつながりを感じやすい仕事といえます。
東京の高齢者向け求人の多さで上位に入る職業の一つがマンション管理員だ。管理会社にとってシニアは現場の主力。働ける場所も多…
またスーパーなどでのアルバイトも勤務時間が決まっており、メリハリのある生活ができるとして、定年後にやりがいを感じながら働いているケースもあります。
以下の事例記事では、大手電気メーカーにて35年間勤務したのち、スーパーのアルバイトとして働いている方を紹介しています。
この記事で紹介されている方は、1日わずか数時間の勤務で、残りの時間を図書館での読書やジムでの健康づくりに充てられるようになったそうです。
また、会社勤めの頃とは違い、幅広い層のお客様と接するため、それが新しい学びの機会になることもあると述べられています。
人生100年時代と言われる今日、定年後の人生設計はますます重要になっています。定年退職や再雇用、転職、独立などさまざまな選択肢があり、「人生の再設計」が求められています。 35年働いてきた大手電気メーカーを60歳で定年退職したHさん[…]
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定年後に充実したキャリアを送るには事前準備が重要!

定年後の働き方が多様化し、多くの方が仕事を続ける選択をしています。再雇用、パート、フリーランス、起業など、多岐にわたる選択肢があるからこそ、漠然と働き始めるのではなく、事前の準備が非常に重要になります。
充実したセカンドキャリアを送るためには、まずご自身のこれまでの経験やスキル、興味関心、そして定年後の生活に求めるものを明確にすることが大切です。
どのような働き方が自身のライフスタイルや価値観に合っているのか、必要な知識やスキルは何か、経済的な計画はどう立てるべきかなど、具体的に考える時間を持ちましょう。
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まとめ
定年後の働き方には再雇用やパート、フリーランス、起業など多様な選択肢があり、それぞれにメリット・デメリットがあるため、自身の希望や状況に合わせて選ぶことが重要です。
これまでの経験を活かせる仕事もあれば、新しい形で社会と繋がる仕事もあります。そして、何よりも定年後に充実したキャリアを送るためには、事前の準備が不可欠です。
自己分析を行い、利用できる制度やサービスも確認しながら計画的に進めることで、定年後も経済的安定だけでなく、精神的な豊かさも得られる働き方を実現できるでしょう。
人生の新たなステージで、自分らしい働き方を見つけてください。