3回の転職を経て品質管理部門の責任者に「50代の転職は専門性やスキルを武器に」

50代の転職は難しいのではと不安を感じる人も多いでしょう。特に転職回数が多い場合、キャリア形成の期間が少ないことをマイナスに捉えられる場合も少なくありません。

今回は、新卒で製薬会社に勤めた後、3回の転職を経て、最終的に品質管理部門の責任者に上り詰めたAさんに、転職活動で直面する現実について伺いました。

Aさんのプロフィール:
新卒で製薬会社に入社し、子会社や関連会社で10年以上働いた後退職。一念発起して看護学校に通うも、最終的に看護師にはならずに派遣社員として食品メーカーで分析業務を行う。その後、数回の転職を経て、現在は製薬会社の品質管理部門の責任者として働いている。

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転職活動を始めた理由と背景

ーこれまでのご経歴を教えていただけますか。

新卒で製薬会社Aに入社して10年勤務し、子会社や関連会社で働いた後、一念発起して看護学校に通いました。しかし、最終的に看護師にはならずに派遣社員として食品メーカーの分析業務をする部署で1年間働きました。

その後、再び転職活動をはじめ、製薬会社B(品質管理部門の微生物グループ)に転職。その会社で4年間勤務した後に、薬品会社Cに転職し、同じ品質管理の仕事に就きました。

現在はその品質管理部門の責任者として働いています。

ー直近の転職の理由や当時の状況を教えてください。

これまで3回転職を経験していますが、最後の転職は会社都合でした。当時、勤めていた製薬会社の大阪の工場が閉鎖になり、大分の工場に転勤する必要がありました。

「大分に転勤するのは難しいな」と考えていたところ、早期退職の募集が出たためそれに応募して退職し、同時に転職活動を始めました。

ー早期退職の条件はどのようなものでしたか?

退職金に2年間分の年収が上乗せされたので、未練なく退職できました。50代後半の方々も、退職金の上乗せ額が多いという好条件だったので、早期退職を選択する人が多かったです。

―早期退職後の転職では、希望する業界などはありましたか?

転職前と同じ「製薬メーカーの品質管理で微生物を扱う職種」を探し、複数の転職エージェントに登録しました。

そのうちの一社からは、登録してわずか2日後に求人を紹介され、スムーズに選考が進みました。結果として、早期退職から1か月以内に転職先が決まりました。

ー何社ほど応募しましたか?また、転職活動において苦労した点はありましたか?

5社受けて2社はご縁がありませんでした。残りは面接が進んでいましたが、なぜか独身と勘違いされて遠方の勤務地を提示されたため、途中で辞退したケースもありました。

求人は年収が極端に低いものと高いものに二極化しており、選択が難しい状況でした。

これまでよりも年収が低い案件は転職するメリットがないので見送りましたが、あまりにも年収が高い場合は、逆にブラック企業ではないかと不安を感じることもありました。

ー30代の転職活動と比較して、50代の転職はどのような印象がありますか?

私の場合、30代の転職では、経験の有無に関わらず、案件数は多く仕事内容も幅広く選べた記憶があります。

一方で、50代になると求められるスキルや経験が重視されるため、30代と比較すると仕事の幅が狭まります。私の場合は微生物の仕事しか紹介されなくなりました。

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選考に通らない現実に直面したときの心境

ー書類選考や面接で落ちた時には、率直にどんな気持ちでしたか?

ある製薬会社では「30代の人材を主に採用しています」と明確に伝えられたこともあり、年齢による制限を感じました。

年齢のことをはっきり言われるため、こちらも「わかりました」と返答するしかありませんでしたが、釈然としませんでした。

ー過去に転職回数が多いことは、転職にはマイナス要素でしたか?

最後の転職は会社都合でしたが、採用担当者からは「前職も短期間で退職し、転職を繰り返しているのでは?」と見られることが多くありました。

「工場が閉鎖されていなければ、引き続き勤務していました」と説明しても、「何か問題があったのでは」と疑われ、前向きに受け取ってもらえませんでした。

キャリアの継続性について指摘されるたびに、うまく反論できず、悔しい思いをしました。

ー転職回数が多いことをプラスに捉えられるケースは多くないのですね。

私自身は、転職を重ねることは「どこでも通用するスキルを身につけている証拠」だと考えています。

また、新しい環境ごとに人間関係を築く必要があるため、転職経験が多いことは、どのような組織でも柔軟に適応できる能力の証明でもあると思います。

外資系企業では、多様な企業文化を経験しながらスキルを磨いた人材として評価される傾向があります。しかし、日本では、今でも定年まで同じ企業で働くことを良しとする会社が多いと感じました。

とはいえ、転職回数を気にしない企業も少なくありません。実際、現在の会社では過去の転職歴がマイナス評価されることはありませんでした。

ー内定をもらった時は、迷いなくその会社に転職しようと思いましたか?

前職では大企業に勤めていましたが、組織として柔軟性に欠ける面があり、転職後も大企業で働くことに迷いがありました。

そんな中、中小企業から内定をいただき、自分に合った環境だと感じたため、迷わず入社を決めました。

転職後は年収が上がり、福利厚生も非常に充実しており、申し分のない会社だと感じています。

ー大企業と中小企業を比較して、企業文化で違う点はありますか?

中小企業なので大企業に比べるとガバナンスは弱いものの、その分、自由度が高いと感じました。

ただ、つい先日に勤める会社が大企業に吸収され、ガバナンスがより厳しくなってしまったため、窮屈さを感じて辞める人も増えているという現状があります。

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不採用の理由と要因―企業は何を見ていたのか

ー転職活動中、不採用だった際に、面接官から指摘されたことや理由を聞いたことはありますか?

過去にカメラオフのリモート面接があったのですが、お互いの姿が見えないため、年齢を誤解されて不採用になったことがありました。

不採用の理由が「声が若かったので、もっと年齢が若いのではないかという疑念が生じたため」と聞いたときは、複雑な思いでした。

また、お互いの表情がはっきりと見えないため、伝えたいことを十分に伝えられないこともあり、リモート面接の難しさを感じました。

また、リモート面接では、応募する側としても会社の雰囲気を感じ取れないというデメリットがあると思います。

オンライン面接を通じて「この企業で働きたい」と考えていたものの、最終面接で実際に企業を訪れると「何か違う」と感じることがありました。

オンライン面接が主流の場合、このようなギャップを感じやすいと思います。

ーリモート面接では、面接官に好印象を与えるために工夫した点はありますか?

画面オフで行われるリモート面接では、若く見られることが不利になると感じたため、語尾をはっきり発音し、落ち着いた話し方を意識しました。

話し方を工夫することで、より信頼感のある印象を与えられると考えたからです。

また、画面オンの場合は、優しい印象の眼鏡に変えたり、暖色系のメイクを取り入れて明るく見えるよう工夫しました。

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50代転職を成功に導くために―実践した対策と重要なポイント

今後のキャリアですが、再び転職したいと思われますか?

今後しばらくは転職の予定はなく、現在の会社でのキャリアアップに集中しています。現在、課長職への昇進試験を受けており、社内での成長を優先している状況です。

会社の定年は65歳で、その後も嘱託社員として働ける制度がありますが、将来的には専門知識を活かして独立し、コンサルティング業を始めるつもりです。

ただし、65歳になってからの独立は難しいと考えているため、準備が整い次第、できるだけ早く独立したいと思っています。

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ー同じように50代で転職を目指す方へ、最も伝えたいアドバイスがあれば教えてくださ

い。

「このままこの会社で働き続けて良いのか」と疑問を感じたら、迷わず転職を検討すべきだと思います。

また、会社の雰囲気や企業文化は、人事担当者の対応に表れます。そのため、転職活動の際は人事担当者の印象にも着目し、会社の特徴を見極める判断材料にしてください。

さらに、面接ではポジティブな姿勢を貫くことが重要です。ネガティブな話題は避け、マイナスな質問を受けても前向きに答えるなど、意識的にポジティブな言葉を選ぶことで、良い結果につながります。

転職活動、ぜひ頑張ってください!

 

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