iDeCoは自分で老後の資産を形成するための制度ですが、「50歳からiDeCoを始めても無意味なのでは?」と感じる人も多いのではないでしょうか。
たしかにiDeCoは早く始めた方が有利な側面もありますが、50歳からのiDeCoでも、さまざまなメリットが得られます。
この記事では、iDeCoの仕組みや50歳からiDeCoを始める場合のメリット・デメリット、50歳からのiDeCoを効果的に活用できる人について詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。

伊藤FP事務所代表。ファイナンシャルプランナー(AFP)兼ライター。大学卒業後、証券会社・保険コンサルタントを経て事務所代表兼フリーライターとして活動を始める。家計の見直しから税金・保険・資産運用まで、人生の役に立つ記事を幅広く執筆。
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iDeCoとは?

iDeCoとは「個人型確定拠出年金」といい、老後の資金を自分で準備できる「私的年金制度」です。
国民年金や厚生年金といった公的年金にiDeCoの資産を上乗せすることで、より安心して老後の生活を送れるようになります。
iDeCoでは、毎月自分で決めた金額を積み立てて運用し、形成した資産を老後の資金として受け取る仕組みです。老後の資金として積み立てるため、資産の受け取りは最短で60歳からと決められています。
iDeCoで積み立てた資産は、60歳より前には受け取れないため、注意が必要です。
積み立てる資金は投資信託や定期預金などで運用し、運用成績によって将来受け取る金額が変わるのが特徴です。
人生100年時代と言われるように、平均寿命が高まる中、公的年金だけでは老後資金は十分とは言えません。そのため、自分でも老後資金を形成する必要があります。
このような中、個人の資産形成を後押しするという観点から、iDeCoには「税制優遇制度」が設けられています。
iDeCoの税制優遇とは
iDeCoの大きな魅力として、以下の4つの「税制優遇」があります。
- 掛金が全額所得控除
- 運用益が非課税
- 退職所得控除(一時金で受け取る場合)
- 公的年金等控除(年金として受け取る場合)
iDeCoに拠出した掛金は全額所得控除となるため、所得税や住民税を減らせます。
また、通常は運用益に20.315%の税金がかかりますが、iDeCoでは非課税になります。
さらに、iDeCoで形成した資産を受け取る際は、一時金で受け取る場合は「退職所得控除」、年金として分割で受け取る場合は「公的年金等控除」を受けられるため、受取時の税金を減らせます。
このように、iDeCoでは、さまざまな節税の仕組みを活用しながら、効率的に老後資金を準備できることが大きな魅力です。
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50歳からのiDeCoは無意味なのか?

iDeCoを50歳から始める場合、運用期間が短いため無意味ではないかと考える人も多くいます。
確かに、iDeCoをはじめとした「積立投資」は、長期で運用するほど複利効果を得られるという特徴があるため、「50歳から始めても増えないのでは?」という不安はもっともです。
確かに、20代・30代と比べると運用期間は短くなります。しかし、iDeCoは「節税効果」も大きな魅力です。
iDeCoでは、掛金を全額所得控除できるため所得税・住民税を減らせます。
50歳からのiDeCoであっても、始めた年からすぐに税金の軽減効果を得られるため、iDeCoは無意味ではなくメリットがあるといえます。
また、2022年の法改正により、以下の条件を満たした人は、65歳までiDeCoに加入できるようになりました。
- 会社員・公務員など(国民年金第2号被保険者)で60歳以上65歳未満の人
- 60歳以上65歳未満で国民年金に任意加入している人
- 国民年金に任意加入している海外居住の人
65歳までiDeCoに加入した場合、50歳からでも15年間積立金を拠出できるため、15年間所得控除による節税メリットを得られます。
加えて、iDeCoは最長75歳まで運用ができます。50歳からiDeCoを始め、70歳以降に受け取る場合は、20年以上の長期運用ができるため複利効果も十分に得られます。
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50歳からはiDeCoと新NISAとどっちが良い?

50歳からのiDeCoは無意味ではありませんが、新NISAとどっちが良いか知りたいという人も多いのではないでしょうか。
新NISA(以下NISA)も個人の資産形成を後押しする制度のため、一定額までは運用益が非課税になるというメリットがあります。
しかし、iDeCoには「所得控除」があり、NISAには所得控除がないことが大きな違いです。
iDeCoでは、積立金を拠出している期間は所得税・住民税を減らせるというメリットがあります。
また、現役で収入が安定している50代は、年収が最も高い世代でもあります。収入が多いと所得税率も高いため、iDeCoの所得控除による節税効果は非常に大きくなります。
一方で、NISAはいつでも資金を引き出せるというメリットはありますが、所得控除はありません。
手元資金に一定の余裕があり、60歳以降まで資金を引き出せなくても問題がない人には、iDeCoがおすすめです。
一方、節税効果よりも資金の流動性を重視する人には、NISAがおすすめです。
ただし、退職金が多く「退職金+iDeCoで形成した資産額(一時金で受け取り)」が退職所得控除を超えそうな人は、受取時に課税される可能性があります。
そのため、NISAとiDeCoを慎重に比較して決めることが大切です。
iDeCoを一時金で受け取りたい人で、退職金が多い人は、iDeCoではなくNISAを利用するのもひとつの選択肢といえます。
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50歳からのiDeCoのメリットと押さえておきたいポイント

50歳からのiDeCoが無意味ではないと言える最も大きな理由は、先述の通り、税制優遇を受けられることです。
また、2022年の法改正でiDeCoの拠出可能期間や受取開始年齢が延長されたことも重要なポイントです。
ここでは、50歳からiDeCoを始めるのが無意味ではないといえる根拠について、詳しく解説します。
所得税や住民税を減らせる
これまで説明してきたように、50歳からのiDeCoが無意味ではないと言える最も大きな理由は、掛金全額が所得控除できることです。
所得控除とは、課税所得から一定の金額を差し引ける(控除できる)制度です。
例えば、毎月1万円をiDeCoに拠出している場合、年間12万円を課税所得から差し引けます。
課税所得とは、1年間で得た収入(給与や事業収入、不動産収入など)から必要経費や各種控除(基礎控除や配偶者控除、社会保険料控除、医療費控除など)を差し引いた金額です。
例えば、課税所得が600万円の人が、毎月1万円(年間12万円)iDeCoに拠出している場合の節税額は、以下のようになります。
iDeCoをしない場合 | iDeCoで年12万円を拠出する場合 | |
課税所得金額 | 600万円 | 588万円 |
所得税 | 77万2,500円 | 74万8,500円 |
住民税 | 60万円 | 58万8,000円 |
所得税・住民税の合計 | 137万2,500円 | 133万6,500円 |
※住民税は10%で計算
このように、iDeCoに毎月1万円を拠出した場合、年間36,000円を節税できます。
また、所得控除は所得税率が高い人ほど節税額が多くなります。
50歳代は年収がピークを迎える人も多いため、節税メリットを最大限活用できる年代といえるでしょう。
運用益が非課税である
一般的に、金融商品の運用益には、20.315%の税金がかかります。
しかし、iDeCoで得た運用益は非課税のため、より効率的に資産を増やすことが可能です。
iDeCoと比較されるNISAも同様に、運用益が非課税になるというメリットがあります。
例えば、投資信託を200万円購入して300万円で売却し、運用益が100万円というケースを考えてみましょう。
iDeCoやNISAを利用しない場合は、税金の額は20万3150円となり、最終的に手元に残る額は「279万6,850円」となります。
iDeCoやNISAでは、20.315%の税金はかからず、300万円をそのまま受け取れるため、より効率的に資産を形成できます。
受取時期や受け取り方法を選べる
iDeCoは、老後の資産計画に合わせて「一時金」もしくは「年金」という2つのパターンから受け取り方を選べます。
受取方法によって税金の扱いが異なるため、50歳からiDeCoを始める場合は、自分のライフプランや退職タイミングに合わせて、戦略的に選ぶことが重要です。
一時金で受け取る場合は退職所得控除を利用できる
iDeCoを一時金で受け取る場合、退職所得控除を利用できます。
退職金控除の計算方法は、以下のとおりです。
勤続年数 | 退職所得控除額 |
20年以下 | 40万円×勤続年数(80万円に満たない場合は、80万円) |
20年超 | 800万円+(70万円×(勤続年数ー20年)) |
iDeCoにおける退職所得控除を計算する年齢は、「会社の勤務年数」と「iDeCoの加入期間」のうち、控除額が大きくなる方が適用されます。
例えば、勤続年数が30年、iDeCo加入が10年の人の場合は、「勤続年数」を30年とし、退職所得控除を以下のように計算します。
800万円+(70万円×(勤続年数―20年))=800万円+(70万円×10年)=1,500万円
このようにして、退職所得控除は1,500万円となります。
ただし、退職金と同じタイミングでiDeCoを受け取って「退職金額+iDeCoの受取額」が退職所得控除額を超えてしまうと、超えた部分に税金がかかります。
そのため、退職金とiDeCoの受取額によっては、受取タイミングをずらすなど工夫が必要な場合もあります。
年金受取の場合は公的年金等控除を受けられる
iDeCoを年金形式で受け取る場合は、「公的年金等控除」が適用されます。この仕組みにより、一定額までは非課税になる可能性があります。
ただし、「公的年金額+iDeCoの受取額」が一定額を超えると、非課税で受け取ることはできないため、注意が必要です。
また、公的年金控除額は、年金を受け取る人の年齢によって変わります。
iDeCoを年金として受け取る人が65歳未満の場合、「公的年金の受取額+iDeCoの受取額」が年間60万円以上あると税金がかかります。
また、65歳以上の人の場合は、「公的年金の受取額+iDeCoの受取額」が年間110万円以上あると税金がかかるということを覚えておきましょう。
社会保険に入って働くと65歳まで拠出できる
iDeCoに掛金を拠出できるのは、基本的には60歳までです。
しかし、2022年の法改正により、60歳以降も社会保険に加入していれば、65歳までiDeCoの掛金拠出が可能になりました。
60歳の定年後も働く予定がある人や、定年が65歳という人は、65歳まで掛金を拠出することで所得控除のメリットを得られます。
受け取りを最長75歳まで延長できる
iDeCoは受取時期を最長75歳まで延長できます。
例えば、50歳からiDeCoを始め、75歳まで受け取りを遅らせた場合、以下のようなメリットがあります。
- 退職金とiDeCoを受け取るタイミングをずらせる
- 50歳からでも25年という長期運用ができる
- 老後の収入と支出バランスをみて受け取れる
退職金とiDeCoを受け取るタイミングをずらせる
iDeCoを一時金で受け取る場合、退職金控除を活用することで受取時の節税メリットが得られます。
しかし、「iDeCoの受け取りと退職金の受取時期が10年空いていない場合、iDeCoと退職金の合算額に対して退職所得控除が適用される」というルールがあります。
近年は定年退職が65歳という企業も増えており、退職金を65歳で受け取るケースも増えています。
例えば、iDeCoを60歳~65歳までに受け取り、その後に退職金を65歳で受け取る場合は、「iDeCoの受取額と退職金の合算額」が退職所得控除額を超えると、超えた分に対して課税されてしまいます。
一方で、65歳で退職金、75歳でiDeCoを受け取ると、10年期間が空くため、それぞれに退職金控除を活用できる可能性が高くなります。
ただし、iDeCoや退職控除のルールについては、しばしば変更されているため、今後も変わる可能性があることを覚えておきましょう。
50歳からでも25年という長期運用ができる
iDeCoのような積立投資は、長期間運用するほどメリットが大きいと言われています。
その理由として「複利効果」があります。
積立投資は、運用で得た利益を次回の投資にまわすため、年々運用元本が増えていきます。これを複利効果といいます。
運用期間が長ければ長いほど、雪だるま式に資産が増えていくという特徴があり、10年より15年、15年より20年間運用を継続した方が、複利効果はより大きくなります。
50歳にiDeCoを始め、65歳前後に受け取る場合、10年ちょっとしか運用期間がありません。
しかし、75歳にiDeCoを受け取る場合、50歳から75歳まで、25年間の長期投資を行うことができます。
iDeCoの受取時期は自分で決められますが、最長75歳まで受取時期を延ばせるという選択肢があることは、大きなメリットといえます。
老後の収入と支出バランスをみて受け取れる
老後は、年金や退職金の受取時期、医療費や介護費用の増加など、収入や支出が状況に合わせて変動します。
特に、年齢が上がるにつれて医療費や介護費用が想定外に増えるケースも少なくありません。
iDeCoの受け取りを75歳まで遅らせることができれば、年金だけで生活が苦しくなった場合や、病気や介護状態になった時に合わせて柔軟にiDeCoを受け取れます。
このように、老後の生活状況やライフプランに合わせて75歳まで柔軟に受取時期を決められることも、iDeCoの大きな魅力といえます。
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50歳からiDeCoを始めるときのデメリットや注意点

50歳からのiDeCoは様々なメリットがあるため無意味ではありませんが、デメリットもあります。
iDeCoで老後の資産形成を行う場合は、メリットやデメリット、注意点をしっかり理解したうえで取り組むことが大切です。
ここでは、50歳からiDeCoを始める際のデメリットや注意点について、詳しく解説します。
60歳まで引き出せないため流動性が低い
iDeCoで積み立てた資金は60歳まで引き出せないため、流動性が低いことがデメリットです。
急な出費や生活資金が必要になったとしても、すぐに現金化できません。
そのため、50歳以降に子供の大学進学や住宅ローンの返済などが必要な人は、注意が必要です。
また、60歳の時点でiDeCoへの加入期間が10年未満の場合、以下のように受給開始年齢が変わります。
60歳時点での通算加入等期間 | 受給可能年齢 |
10年以上加入 | 60歳 |
8年以上~10年未満 | 61歳 |
6年以上8年未満 | 62歳 |
4年以上~6年未満 | 63歳 |
2年以上~4年未満 | 64歳 |
50歳以降にiDeCoを始める場合は「最短でいつから受け取れるのか」を確認し、老後の資金計画を立てることが大切です。
短期運用のためリスクが高まる可能性がある
50歳からiDeCoを始めて60歳で受け取る場合、運用期間が短くなります。そのため、時間的なリスク分散が難しくなる点に注意が必要です。
「時間的なリスク分散」とは、投資するタイミングを分散し、コツコツ投資していくことで、投資リスクを下げることをいいます。
価格が高いときも低いときも、毎月決まった金額を積立投資することで、結果的に平均購入価格が平準化され、高値づかみのリスクを抑えられます。
また、時間分散をしながら長期運用することで、市場の短期的な値動きによるリスクを抑える効果も期待できます。
しかし、50歳からiDeCoを始めて61歳や62歳で受け取る場合、約10年間しか運用できません。
場合によっては、相場が下落したまま受取時期を迎えてしまう可能性があります。
特にiDeCoでリスクの高い商品を運用していた場合は、相場下落の影響をより大きく受けてしまうことがあるため、注意しましょう。
拠出金に上限があるため、十分な老後資金を貯められない
iDeCoでは、毎月の拠出限度額が以下のように決められています。
加入資格 | 拠出限度額 | |
自営業者等(第1号被保険者・任意加入被保険者) | 月額6.8万円(国民年金基金または国民年金付加保険料との合算枠) | |
会社員・公務員等(第2号被保険者) | 会社に企業年金がない会社員 | 月額2.3万円 |
企業型DCのみに加入している会社員 | 月額2.0万円 | |
DB(確定給付企業年金)と企業型DCに加入している会社員 | 月額2.0万円 | |
DB(確定給付企業年金)のみに加入している会社員 | 月額2.0万円 | |
公務員 | 月額2.0万円 | |
専業主婦(夫)(第3号被保険者) | 月額2.3万円 |
「自営業者等」を除くと、毎月の拠出上限は約2万円ほどです。
そのため、例えば50歳から60歳までの10年間iDeCoで積み立てた場合、元本ベースで240万円ほどしか積み立てられません。
50歳でiDeCoを始めることに意味はありますが、老後資金すべてをiDeCoで貯めるには期間が短く、貯められる金額には限りがあります。
iDeCoとは別にNISAなども活用し、早めに老後資金を貯めていくと良いでしょう。
老後に必要な資金に関しては、以下の記事も参考にしてください。
老後2,000万円問題が話題になって以降、「老後のためにお金を貯めておかなければならない」ということが、幅広い年代で浸透してきました。 「老後に安心して暮らせるだけの貯蓄を貯めたい」と考える人も多いと思いますが、実際に2,000万円[…]
iDeCoの掛金拠出期間は原則60歳まで
iDeCoの加入年齢は原則60歳のため、60歳までしか掛金を拠出できません。
50歳でiDeCoを始めた場合は10年間しか積立投資ができず、十分な資産を貯められないことがデメリットです。
ただし、2022年より、以下のような一定の条件を満たした人は、65歳までiDeCoに掛金を拠出できるようになりました。
- 60歳以降も厚生年金被保険者として働く人
- 国民年金保険に任意加入できる人
定年後の再雇用では厚生年金被保険者として働くことが多いため、働いている期間は掛金を拠出できます。
また、国民年金保険に任意加入できる人は、以下のとおりです。
- 納付期間が短いため、老齢基礎年金を満額受給できない人
- 年金の受取期間が10年を超えていない人
- 日本国籍を持っていて、海外に住んでいる20歳以上65歳未満の人
例えば、学生時代に特例で保険料免除を受けてきた人などは、国民年金保険に任意加入することが可能です。
iDeCoの拠出期間を長くして、より多くの老後資金を貯めるためにも、条件を満たせる人はiDeCoを65歳まで継続することをおすすめします。
また、60歳まで掛金を拠出し、65歳から受け取る場合、資金を拠出していない60歳~65歳は「運用指図者」となり、口座から管理手数料のみが引き落とされる場合があるため、注意が必要です。
口座管理料を無料としているところもあるため、iDeCoを始める場合は、金融機関をよく比較して決めるようにしましょう。
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50歳からiDeCoを効果的に活用できる人は?

50歳からのiDeCoは無意味ではなく、始めた年から所得控除を受けられるなどのメリットがあります。
しかし、すべての人に同じように効果的とは限りません。特にiDeCoを有効に活用できる人には、いくつかの特徴があります。
そこで今回は、50歳からのiDeCoが特におすすめできる人について、詳しく解説します。
高所得者で所得控除を最大限生かせる人
iDeCoは拠出金額を全額所得控除できるため、所得税や住民税を減らせます。
特に50歳代は年収がピークになる時期のため、収入が多い人は所得控除における節税効果が大きくなります。
50歳代は、iDeCoによる所得控除の節税メリットをしっかり生かしながら、老後資金を積み立てられる良いタイミングといえます。
資産があり、iDeCoの受け取り時期をずらせる人
すでに十分な貯蓄や資産がある人は、iDeCoを受け取る時期を柔軟に延ばせるため、長期運用して複利効果を十分に享受できる可能性が高まります。
金融庁「長期・積立・分散投資とNISA制度」によると、1998年から20年間積立投資をした場合、「新興国」「米国」「先進国」「全世界」「日本国内」の中で、どの株式指数に投資をしても、高い利回りで増えているという結果が示されています。
例えば50歳からiDeCoを始めて70歳に受け取る場合は20年間、75歳に受け取る場合は25年運用できるため、受け取り時期をずらせる人は、長期にわたって運用できる可能性が高くなります。
また、リーマンショックなどの暴落があった場合、相場が回復するのに一定の期間がかかる場合が多くなっています。
iDeCoの受取時期を柔軟に調整できる余裕があれば、このような予想外の事態が起こっても、相場の回復まで待てることもメリットといえます。
このように、まとまった資産があり、iDeCoの受取タイミングをコントロールできる人は、50歳からのiDeCoに向いているといえます。
他の運用方法を組み合わせて資産形成したい人
50歳からのiDeCoは無意味ではありませんが、拠出金の上限が決められているため、老後資金を十分に積み立てられないというデメリットがあります。
50歳からiDeCoを始める場合は、目標の老後資金額を形成できるように他の方法を組み合わせて積立・運用することが大切です。
iDeCoだけではなく、NISAなど他の運用方法も組み合わせて資産形成をしたいという人も、50歳からのiDeCoに向いている人といえます。
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まとめ:50歳からのiDeCoは無意味ではなく、使い方次第!
50歳からのiDeCoは無意味ではなく、正しく活用すれば大きなメリットがあります。特に「所得控除による節税」は、収入がピークを迎える50代が最も恩恵を受けられる仕組みといえます。
一方で、運用期間が短くなってしまうことや、一定の時期まで資産を引き出せないため流動性が低いといったデメリットもあるため、自分のライフプランや資産状況に合わせてiDeCoを活用することが重要です。
50歳からiDeCoを始め、賢く使いこなすことで、老後資金を効果的に形成することが可能です。50歳からの積立投資を考えている人は、ぜひiDeCoも組み入れるようにしましょう。