50、60代が独立時に陥りがちな失敗パターンについて解説

これまで1,500名以上の50、60代の方から相談を受けてきた中でも、独立後に失敗するパターンについて多くの質問が寄せられています。

「独立後、どのような行動を取ってはいけないのか」ということについて、知識として知っておくだけでも独立後の成功確率は上がるでしょう。

本記事では、50、60代が独立する際に知っておくべき失敗のパターンや、成功するための具体的な準備について詳しく解説します。

独立後の成功の尺度は、収入以外に「どれだけ幸福度を高められるか」も重要

シニアの独立においては、収入の増加だけでなく、幸福度の向上も重要な指標です。

まず、シニアの独立における「成功」とは何かについてですが、これは個人によって大きく異なります。ある人にとっては、会社員時代よりも高い収入を得ることが成功かもしれません。

例えば、再雇用として60歳から65歳までの5年間で2,500万円を稼ぐよりも、独立して初年度は収入がゼロでも、その後、年間300万円を10年間稼ぎ続け、70歳以降も働き続けることで、生涯収入が増加することを成功と捉える人もいます。

一方で、大企業を卒業された方は退職金や企業年金があるため、お金よりも仕事に対する満足感を優先する方も多くいらっしゃいます。

他にも独立によって、自分の時間を自由にコントロールすることができたり、再雇用として企業に属するのに比べて、より働きがいのある役割や仕事に従事できたりするので、そのような状況が幸福度の向上に寄与していると考えられます。

シニアにとっての独立の成功は、単に経済的な指標だけでなく、個人の幸福感や満足度も大きく関連しています。

独立後の成功は人脈・仕事に対する意欲・体力

前回の記事でも説明しましたが、シニアの独立を成功させるための秘訣は、「人脈」と「仕事に対する意欲・体力」だと思います。これらの要素が揃っている人は、独立しても成功している傾向があります。

人脈はただ「多くの人を知っている」だけではない

独立後に仕事を獲得する際に人脈は重要ですが、「人脈」という考え方に対して、少し誤解をしている人が一定数いらっしゃいます。人脈があることは、単に多くの人を知っている(多くの名刺を持っている)ということだけでなく、「人望」があることを意味します。

例えば、会社員時代に同僚や部下たちの誕生日を祝ってあげたり、家に呼んでホームパーティーで美味しいご飯をご馳走したりと、丁寧に同僚や後輩と接して、良好な関係を築いてきた人は、独立して仕事に困った際、助けてもらえる可能性があります。

一方で、人間関係を大事にせず、自己中心的に仕事をしてきた方は、独立後に苦労することがあります。誰も助けてくれない状況に直面し、ゼロから人脈を構築しなければならないことがあるからです。

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どんな状況でも仕事に前向きに取り組む意欲

シニアで独立する場合において、仕事に対する意欲は非常に重要です。しかし、独立前後は仕事に対する意欲が沸かないことも少なくありません。独立前後に仕事に対する意欲がないパターンは大きく2つあります。

1つは再雇用後に給料が激減したり、部下がいた立場から、突然いなくなってしまうことで、会社から必要とされていないと感じ、自分の価値を見失ってしまうケースです。そのような状況に直面して、精神的に参ってしまう方や、仕事への意欲がなくなってしまう方が多くいらっしゃいます。

2つ目は、会社員時代、会社で役職が高かった方が、独立後もそのプライドを持ち続けるケースです。

会社員時代に役員まで上り詰めた方でよくあるパターンですが、本当は仕事を探しているけれども、プライドが邪魔して「仕事を紹介してほしい」と言えないことです。

プライドが高すぎると、「人に頭を下げてまでして、働きたくない」と思ってしまい行動が伴わないため、なかなか次の仕事が見つからないんです。

また仮に顧問先が決まっても、そのようにプライドが高いままだと、トラブルが起きることもよくあります。

例えば、顧問としてベンチャー企業に加わるケースがありますが、元役員という肩書きから抜けきれずに「この資料を作ってほしい」と勝手にチームに指示を出す方もいらっしゃいます。

会社のリソースを勝手に使ったり、自分の思い通りにしようとしたりするので、会社との間に軋轢が生じてしまいます。

最終的には、「こんなはずじゃなかった」と働きづらくなり、「もう仕事をやらない」という考え方に陥ってしまうのです。

独立後において、体調管理は基本中の基本

独立後の生活においては、体力を維持し、健康に気を配ることが必須となってきます。これは、仕事のパフォーマンスを維持するためにも、長期的なキャリアを続けるためにも、欠かせない要素です。

実際に独立した方の中には、健康と体力の維持を非常に重要視している方が多いです。こうした健康への意識は顧問として活動していく中で高まるのか、それとも元々健康意識が高い(=自己管理ができる)から顧問としての役割を果たせるのかは、明確ではないですが、「自分が倒れたら仕事が止まる」という状況が、健康を意識するきっかけになるのかもしれません。

50、60代で独立した後、失敗につながる行動のパターンとは?

以下では、独立後に失敗しがちな行動のパターンについて解説します。

行動量が少ない

成功している人とそうでない人の間には、行動量に大きな差があります。成功している人は、能動的に動き、常に手数を多く打っています。例えば、自分から積極的に連絡を取り、ミーティングをセットしたり、人と食事をするなど、さまざまなアクションを取っています。これはビジネスの基本とも言えます。

一方で、うまくいっていない人たちは、行動量が足りないことが多いです。例えば、常に受身の姿勢で、顧問会社に登録して連絡を待つだけの方も多くいらっしゃいます。

会社員時代には会社から仕事が与えられていたため、自分から行動を起こすという考えがないのかもしれません。

以前取材した杉浦さんのように、積極的に行動している人は、Facebookでの投稿からもそれが伺えます。「経営者の〇〇さんとここに行きました」「知り合いが最近オープンしたお店に行きました」といった内容を投稿されており、常に人脈を広げるために行動に移したり、Giverの精神で活動されています。

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行動量を増やし、能動的に動くことで、新たな機会を生み出し、独立後の成功につながるのです。

前職とは関係のない事業をはじめる

独立後に失敗するもう一つのパターンは、前職の経験とは全く関係のない新しい分野に挑戦することです。

長年培った特定の専門知識や経験を生かさずに、全く新しい分野に飛び込むことはリスクが高いです。例えば、長年経理を担当してきた人が、キャリアコンサルタントの資格を取って人事コンサルタントとして独立するケースなどがこれに該当します。

これは、しばしば「好きなことを仕事にしよう」「ラストチャンスだから挑戦しよう」という考え方からそのような行動をとってしまう方がいるためです。

新しいことを始めてうまくいく成功例もゼロではありませんが、そのためには膨大な努力と行動量が必要です。

また新しい分野での仕事を取りに行く際に、過去の経験を全く活かせないことがネックになります。経験を活かしてキャリアを築くことが、独立後の成功にはより現実的なアプローチとなるでしょう。

「前職とは関係のない事業を始めてはならない」とは言いませんが、ゼロからのスタートとなりますので、相当な覚悟をもって取り組む必要があるということです。

必要のない資格の勉強と取得

独立後に成功しない人のもう一つの共通点は、実務経験がない分野の資格取得に必要以上の時間を費やすことです。

例えば、税務業務の経験がないにも関わらず税理士の資格を取得しようとするケースなどがこれに該当します。このような人は、資格を取得するために2、3年を費やし、その間に実務経験を積まず、最終的には仕事を見つけることができません。

ストレートな表現になりますが、こうした行動は、転職や独立でうまくいかない時に「学び直す」という表面的な忙しさを作ることで、独立後の現実から逃げているともいえます。

しかし、実際には勉強が終わる頃には、実務経験も忘れてしまい、労働市場において価値がなくなってしまうというリスクがあります。

資格というのはあくまでも実務経験を伴ってはじめて価値が出てくるものです。資格を取れば仕事がもらえるというのは一部の資格に限られるため、資格を取ろうと考える際には慎重に選択すべきだと思います。

仕事をせずに勉強に集中するのではなく、仕事をしながら勉強することをお勧めします。

独立後、失敗をなるべく減らすために避けるべき業種は?

独立を考える際に避けるべき業種というのは一概には言えませんが、例えば飲食業などは慎重に検討するべきです。

飲食業の運営は一般的に難しいとされており、特にこれまでずっと会社員をやっていた状況からの転身では成功が難しいと考えられます。

また、多額の初期投資が必要となるビジネス、例えば製造業や機械を購入する必要がある業種も、難易度が高くなるでしょう。

一方で推奨する業種は、人材業界やコンサルティング業界、保険代理店など、比較的最初から資本を必要としないものです。これらの業種は、人件費と家賃以外に大きな経費がかからないため、ビジネスの難易度が低いと言えます。大きくスケールしようとするのであれば簡単ではありませんが、個人が生きていく程度を稼ぐという意味では難易度が低い、という意味です。

また、仮にコンサルティング業界で独立するといっても、過度な初期投資は避けるべきです。例えば独立後に必要な名刺作成やホームページ制作も、無料で作れるウェブサイトを通じて作成するなどして、最小限のコストで行うべきでしょう。これもまたビジネスの基本ですね。

独立時には、自分のキャッシュフローを考慮しながら、リスクの少ないビジネスから取り組むように意識しましょう。

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新しい分野へのチャレンジのタイミングとマインドセット

先ほど、独立後にいきなり新しい分野へ挑戦をするのは避けるべきと言いましたが、もし挑戦する場合は、既存の事業が安定し、ある程度のキャッシュフローが見込める状態になってからが良いでしょう。

新しい分野へのチャレンジはリスクを伴いますが、この段階であれば生活を脅かすほどの大きな失敗にはなりにくいと言えます。

また、小さな失敗は経験と成長の機会と前向きに捉えるべきで、それによって成功への道が早く開ける可能性があります。

特にシニアの場合、100万や200万の失敗は、長期的な成長の過程であれば誤差に過ぎません。

年齢に関係なく、挑戦し続ければ最後には成功が訪れるものであり、その過程を社会全体で全力で支援し、共に頑張る姿勢を促すことが大事だと思っています。

シニアの独立後の成功戦略とは

先ほど紹介した失敗のパターンを避けながらも、成功確率を上げるための行動パターンについて以下で解説します。

経験者から学ぶこと

独立して成功するための第一歩は、すでに独立してうまくいっている人たちから学ぶことです。手っ取り早く学ぶ方法として既に独立している先輩などと会食をセットし、「どうやって独立してうまくやっているのか」を聞くことが効果的です。

成功のパターンを真似ることは、事業で成功するための有効な方法であり、これもまたビジネスの基本です。既に独立している方の取材記事を読んで成功事例を参考にし、彼らの戦略を自分のものにすることも重要です。

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また、弊社が提供する「独立支援アカデミー」のようなプログラムを受講して成功のエッセンスを効率よく学ぶことも成功への近道となるでしょう。

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交流会後には必ず次につなげること

行動量が大事と言っても「行動の方向性」には注意が必要です。実際に、行動はしているものの方向性を間違えている人も多く見られます。たとえば、交流会などに参加する際、集めた名刺の枚数に満足している方がいますが、それでは人脈を広げたとは言えません。

交流会での出会いを最大限に活用するには、交流会の後に連絡を取り、具体的にビジネスの話をすることが重要です。

例えば、相手の会社や事業の課題を聞いて、それを解決できる提案をすることで、次のビジネスチャンスにつなげて行きましょう。

営業時には「聞くこと」を重視すること

営業活動では、自分の話をしすぎることは避けるべきです。特にシニアのビジネスパーソンは、しばしば自分の経験について過剰に話してしまう傾向があります。しかし、営業の場では、自分を売り込むよりも、相手の課題をヒアリングし、解決策を提案することが必要とされています。

特に、「聞く」と「話す」のバランスを、9:1で「聞く」に重きを置くよう意識しましょう。これを意識していてもシニアの方は自分の話をしすぎてしまうことがあるので、これを意識していない人は自分で思っている以上に多く話してしまいがちです。

独立支援アカデミーなどでは、「営業後や顧問契約を結んだ後の顧問の役割は主に話を聞くことである」と教えています。話すのではなく、相手の話に耳を傾け、そのニーズを理解し、適切な提案をすることで、より良いビジネス関係を築くことができます。

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最後に:失敗を恐れず、果敢に挑戦しよう

成功と失敗は主観的な概念であり、個人によって定義が異なります。特にシニアの場合、長年にわたるキャリアを通じて「失敗したくない」という気持ちが強い傾向があります。

しかし、新しい挑戦には失敗が付きものです。重要なのは、その失敗を恐れずに次のステップへ進む勇気を持つことです。

日本では、「他人の不幸は蜜の味」といわんばかりに、しばしば他人の失敗を楽しみに待つような風潮がありますが、それを乗り越えてチャレンジする文化を作ることが大切だと感じています。

社内の同僚や先輩との交流よりも、社外の人々との交流を重視することも、新しい視点や学びを得たり、独立に対する意識を高める上で有効です。失敗を恐れず、次の一歩を踏み出す勇気を持つことが、シニアの新たなキャリアの発展に不可欠です。

株式会社BEYOND AGEでは新たに挑戦するシニアを全力で応援しております。少しでも悩むことがありましたらお気軽にお問い合わせください。

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