55歳で早期退職をしてリタイアするにはいくらあればいい?計算方法も解説

55歳で早期退職したいと思った場合、いくらあれば安心して退職することができるのでしょうか。近年は早期退職制度を利用して、会社を辞めた後に新しいステップを踏み出す人が増えていますが、そのためには老後のための資金計画が必要不可欠です。

実際には55歳で退職してそのままリタイアするという方は少ないものの、「体力的にも元気なので一応働くつもりではあるが、いくらあれば安心してリタイアできるのか?」と気になる方も多いはず。

この記事では55歳で早期退職し、リタイアするためにいくらあればよいのか、必要資金額のシミュレーションと計算方法について解説します。

この記事の執筆者
伊藤久実

伊藤FP事務所代表。ファイナンシャルプランナー(AFP)兼ライター。大学卒業後、証券会社・保険コンサルタントを経て事務所代表兼フリーライターとして活動を始める。家計の見直しから税金・保険・資産運用まで、人生の役に立つ記事を幅広く執筆。

55歳で早期退職をしてリタイアするにはいくら必要?

単身世帯に必要な金額

55歳で早期退職するために必要な資金を計算するためには、「55歳以降に必要な生活費」から、「退職金と65歳以降に受け取る年金受給額」を引くことで求められます。

例えば、単身世帯つまり独身の人が55歳で早期退職し、リタイアするために必要な資金額は以下となっています。女性のほうが長生きすることから、必要資金は多くなります。計算方法は後述します。

必要資金額
男性5,235万円
女性6,355万円
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二人以上世帯に必要な金額

次に、二人以上世帯の場合、55歳に早期退職してリタイアし、安心して老後を過ごすためには、以下の資金が必要です。二人以上世帯は、単身世帯に比べて毎月の生活費が多くかかるため、必要資金額も多くなっています。

世帯の条件必要資金額
二人以上世帯約1億179万円
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55歳で早期退職をしてリタイアするために必要な資金額の計算方法【単身世帯】

55歳で早期退職する場合、単身世帯では5,235万円あれば、計算上は問題なくリタイアできます。

それでは、それぞれのデータを確認しながら、計算をしていきましょう。このシミュレーションでは、以下の条件で計算します。

  • 単身世帯・55歳に早期退職
  • 年金受給開始まで無職
  • 国民年金保険料は満額支払う
  • 選択定年制(自己都合)で退職

公益財団法人の生命保険文化センターによると、日本人の平均寿命は男性が81.47歳、女性が87.57歳です。

このことから、男性は年金受給開始以降、男性は約17年、女性は約23年生きることになります。

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55歳から65歳までに必要な生活費

最初に、55歳から65歳までにかかる生活費をみていきましょう。

2022年の総務省統計局の家計調査では、単身世帯(平均年齢58.3歳)の人の1ヶ月あたりの消費支出は、以下のように16万1,753円となっています。

消費支出16万1,753円
  (食料)4万3,276円
  (住居)2万3,322円
  (光熱・水道)1万3,098円
  (家具・家事用品)5,613円
  (被服及びはきもの)5,280円
  (保健医療)7,441円
  (交通・通信)1万9,344円
  (教育)2円
  (教養娯楽)1万8,700円
  (その他の消費支出(諸経費・小遣い・    交通費・仕送り金))2万5,678円

(注)本資料の数字は、表章単位未満を四捨五入しているため、内訳を足し上げても 必ずしも合計とは一致しません。

55歳から65歳までの生活費を、このデータを使って計算すると

16万1,753円×12ヶ月×10年)=1,941万360円

となります。

65歳の年金受給開始から平均寿命までに必要な生活費

年金受給開始の65歳から平均寿命までに必要な生活費は、いくらになるのでしょうか。

65歳以上無職、単身世帯の生活費は以下となっています。

実収入13万4,915円
消費支出14万3,139円
  (食費)3万7,485円
  (住居)1万2,746円
  (光熱・水道)1万4,704円
  (家具・家事用品)5,956円
  (被服及び履物)3,150円
  (保健医療)8,128円
  (交通・通信)1万4,625円
  (教育娯楽)1万4,473円
  (その他の消費支出)3万1,872円
非消費支出1万2,356円
  (社会保険料)5,625円
  (直接税)6,660円

(注)本資料の数字は、表章単位未満を四捨五入しているため、内訳を足し上げても 必ずしも合計とは一致しません。

消費支出は14万3,139円、非消費支出(税金と社会保険料)は1万2,356円なので、1ヶ月に必要な生活費は、13万4,915円+2万580円=15万5,495円と計算できます。

実収入は13万4,915円なので、一般的な年金受給額の人は、年金生活に入ると、月に約2万円赤字になることがわかります。

年金受給開始から平均寿命までの年数は、男性が約17年、女性が約23年です。

このことから、65歳以降に必要な生活費は

【男性】15万5,495円×12ヶ月×17年=3,172万980円

【女性】15万5,495円×12ヶ月×23年=4,291万6,620円

となります。

55歳から60歳までの国民年金保険料

55歳の早期退職後、60歳まで国民年金保険料を支払うと仮定します。保険料は1万6,520円なので、

1万6,520円×12ヶ月×5年=99万1,200円

となります。

ただし、早期退職で失業状態となり保険料納付が難しい場合は、条件を満たせば国民年金保険料の特例免除を申請できる場合があります。

将来受け取る年金が減っても良いという人は、特例免除が申請できるかどうか、お住まいの市区町村役場の保険年金課に相談してみましょう。

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55歳から65歳までの国民健康保険料

65歳以降の生活費のデータには「社会保険料」が含まれているため、ここでは55歳から65歳までの国民健康保険料を計算します。

国民健康保険には、「医療分」と「支援分」、「介護分」があり、それぞれに平等割、所得割と均等割があり、無職で収入がなくても平等割と均等割は支払わなければなりません。

平等割は、市町村によっては設定されていない場合もあります。

保険料の軽減割合には「7割」「5割」「2割」の3種類があり、無職の人は「43万円+10万円×(年金・給与所得者の数-1)以下の世帯」に該当するため、7割減額となります。

国民健康保険料は、住んでいる市町村によって違いがあります。例えば、東京都練馬区に住んでいると仮定して計算してみましょう。

医療分の均等割は4万5,000円です。7割減額なので、4万5,000円×30%=1万3,500円になります。

支援分の均等割は1万5,100円で、同じく7割減額なので、1万5,100円×30%=4,530円になります。

介護分の均等割は1万6,200円なので、7割減額で、1万6,200円×30%=4,860円です。

これらすべての金額を足すと、国民健康保険料(年額)が求められ、合計金額は2万2,890円です。55歳から65歳までの10年間の国民健康保険料は、2万2,890円×10年=22万8,900円となります。

国民健康保険の均等割は市町村によって違いがありますので、確認してみてください。

55歳の早期退職でもらえる退職金

早期退職でもらえる退職金は、自己都合か会社都合かで金額に違いがあります。選択定年制度では自己都合、希望退職制度では会社都合となります。

「令和3年 賃金事情総合調査」によると、大学卒、事務・技術労働者、総合職相当の人の勤続35年の退職金額は以下となっています。

大学卒、事務・技術労働者、 総合職相当勤続35年(自己都合)約2,163万円
勤続35年(会社都合)約2,365万円
短大・高専卒、事務・技術労働者、総合職相当勤続35年(自己都合)約1,590万円
勤続35年(会社都合)約1,632万円
高校卒、事務・技術労働者、総合職相当勤続35年(自己都合)約1,546万円
勤続35年(会社都合)約1,669万円

55歳(勤続33年)の統計はないため、勤続35年の統計のデータを使って計算します。

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55歳で早期退職した人がもらえる年金受給額

55歳で早期退職し、リタイアした後も国民年金保険料を支払うと仮定しているため、老齢基礎年金は満額もらえると仮定します。

厚生年金の受給額は、加入月数と今までの平均標準報酬額によって変わるため、個々人によって違いがあります。

年収500万円で33年間働いた人(大卒で22歳から働き、55歳早期退職を想定)の年金受給額をシミュレーションすると、老齢基礎年金と老齢厚生年金を合わせた受給額は、年間155万円です。

65歳から平均寿命までの間、もらえる年金額の合計は、

  • 男性 155万円×17年=2,635万円
  • 女性 155万円×23年=3,565万円

となります。年金の受給額は年収によって大きく変わりますので、ねんきん定期便を手元に用意して、日本年金機構の「ねんきんダイヤル」に問い合わせをすることをおすすめします。

55歳で早期退職をしてリタイアするために必要な資金の計算結果【単身・男性】

55歳に早期退職をしてリタイアする際にかかる必要資金を、生活資金・退職金(大卒総合職のケース)・年金をもとに計算すると、以下のようになります。

【男性】

55歳に早期退職してからの支出
65歳までの生活費約1,941万円
65歳から平均寿命までの生活費【男性】約3,172万円
55歳から60歳までの国民年金保険料約99万円
55歳から65歳までの国民健康保険料約23万円
支出合計約5,235万円
55歳の早期退職してからの収入
退職金(大学卒・総合職・自己都合)約2,163万円
65歳から平均寿命までにもらえる年金約2,635万円
収入合計約4,798万円

55歳の早期退職とリタイアのために必要な資金は約5,235万円となり、退職金と年金以外に約437万円が追加で必要という結果になります。

55歳から65歳までの10年間、年間約44万円を稼げば、この不足分は埋めることができます。アルバイトやパートなど、ライフスタイル重視の働き方でも、足りない分を補えるでしょう。

55歳で早期退職をしてリタイアするために必要な資金の計算結果【単身・女性】

女性は平均寿命が長いため、リタイア後に生活費が多くかかる反面、生涯で得られる年金も多くなるという特徴があります。

【女性】

55歳に早期退職してからの支出
65歳までの生活費約1,941万円
65歳から平均寿命までの生活費【女性】約4,292万円
55歳から60歳までの国民年金保険料約99万円
55歳から65歳までの国民健康保険料約23万円
支出合計約6,355万円
55歳の早期退職してからの収入
退職金(大学卒・総合職・自己都合)約2,163万円
65歳から平均寿命までにもらえる年金約3,565万円
収入合計約5,728万円

55歳に早期退職し、リタイアするために必要な資金は、約6,355万円です。退職金と年金以外に、約627万円が必要な計算です。

55歳から65歳の間に年間約62万円の収入があれば、リタイアしても生活していける計算になります。

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55歳で早期退職をしてリタイアするために必要な資金の計算方法【二人以上世帯】

55歳で世帯主が退職してリタイアし、夫婦は同年齢で85歳まで生きると仮定したシミュレーションを説明します。

55歳から65歳までに必要な生活費

早期退職した55歳から65歳までにかかる毎月の生活費は、以下のようになっています。

消費支出29万865円
  (食料)8万1,888円
  (住居)1万8,652円
  (光熱・水道)2万4,524円
  (家具・家事用品)1万2,390円
  (被服及びはきもの)9,493円
  (保健医療)1万4,797円
  (交通・通信)4万1,535円
  (教育)1万1,439円
  (教養娯楽)2万7,619円
  (その他の消費支出(諸経費・小遣    い・交際費・仕送り金)4万8,529円

(注)本資料の数字は、表章単位未満を四捨五入しているため、内訳を足し上げても 必ずしも合計とは一致しません。

55歳から65歳までの10年間にかかる生活費は、29万865円×12ヶ月×10年=3,490万3,800円となります。

65歳の年金受給開始から平均寿命までに必要な生活費

二人以上世帯で、65歳以上無職の世帯の生活費は、以下のようになっています。

実収入24万6,237円
消費支出23万6,696円
  (食費)6万7,776円
  (住居)1万5,578円
  (光熱・水道)2万2,611円
  (家具・家事用品)1万371円
  (被服及び履物)5003円
  (保健医療)1万5,681円
  (交通・通信)2万8,878円
  (教育娯楽)2万1,365円
  (その他の消費支出)4万9,430円
非消費支出3万1,812円
  (社会保険料)1万8,945円
  (直接税)1万2,854円

(注)本資料の数字は、表章単位未満を四捨五入しているため、内訳を足し上げても 必ずしも合計とは一致しません。

消費支出と非消費支出の合計は、23万6,696円+3万1,812円=26万8,508円で、毎月約2万2,000円の赤字です。

65歳から85歳までの20年間に必要な生活費は

26万8,508円×12ヶ月×20年=6,444万1,920円

となります。

55歳から60歳までの国民年金保険料

夫が会社員の時に配偶者が第3号被保険者だった場合、早期退職後は夫・妻ともに第1号被保険者となります。

55歳の早期退職後、60歳まで国民年金保険料を支払うと仮定すると、保険料は1万6,520円なので、夫婦二人分の年間保険料は、

1万6,520円×60ヶ月×2=198万2,400円

となります。

55歳から65歳までの国民健康保険料

早期退職した後の健康保険については、これまで加入していた健康保険の「任意加入制度」を利用するか、国民健康保険に加入するかのどちらかを選ぶことができます。

任意加入制度では、2年間今までと同じ健康保険を継続することができますが、途中で辞めることができないこと、今まで折半だった事業主負担分も併せて負担しなければならなくなるため、保険料が割高になるというデメリットがあります。

55歳の早期退職後に無職となることを想定した場合は、国民健康保険に加入して、軽減を受けるほうがお得になる可能性が高くなります。

単身世帯と同じように、東京都練馬区を例にすると、無職の人が支払う55歳から65歳までの10年間の国民健康保険料は、2万2,890円×10年=22万8,900円となります。

夫婦二人分なので、10年間の国民健康保険料の合計は、45万7,800円となります。

55歳の早期退職でもらえる退職金

単身世帯の計算で説明したように、55歳の早期退職でもらえる退職金は、以下となっています。

大学卒、事務・技術労働者、 総合職相当勤続35年(自己都合)約2,163万円
勤続35年(会社都合)約2,365万円
短大・高専卒、事務・技術労働者、総合職相当勤続35年(自己都合)約1,590万円
勤続35年(会社都合)約1,632万円
高校卒、事務・技術労働者、総合職相当勤続35年(自己都合)約1,546万円
勤続35年(会社都合)約1,669万円

55歳で早期退職した人がもらえる年金受給額

55歳で早期退職した人がもらえる年金額を考えてみましょう。年収500万円で33年間働いた人(大卒で22歳から働き、55歳早期退職を想定)の年金受給額をシミュレーションすると、老齢基礎年金と老齢厚生年金を合わせた受給額は、年間約155万円です。

妻も老齢基礎年金を満額受給(令和5年は79万5,000円)できると想定すると、夫婦の1年間の年金受給額は、約155万円+約80万円=約235万円となります。

65歳から85歳までの20年間でもらえる年金額の合計は、

235万円×20年=4,700万円

となります。

55歳で早期退職をしてリタイアするために必要な資金の計算結果

今までのデータをもとに、55歳に早期退職してリタイアできる資金を計算してみましょう。

55歳に早期退職してからの支出
65歳までの生活費約3,490万円
65歳から85歳までの生活費約6,444万円
55歳から60歳までの国民年金保険料約199万円
55歳から65歳までの国民健康保険料約46万円
支出合計約1億179万円
55歳の早期退職してからの収入
退職金(大学卒・総合職・自己都合)約2,163万円
65歳から85歳までもらえる年金約4,700万円
収入合計約6,863万円

55歳に退職してからの支出と収入を比較すると、約3316万円の赤字になります。

55歳から65歳までの10年間、夫婦で年間約330万円収入を得ると、老後も生活していける計算です。単身世帯に比べると、ある程度しっかりとした働き方が求められるといえます。

55歳早期退職以降の医療費や介護費、お祝いの相場はいくら?

55歳に早期退職してリタイアするために必要な資金額を計算してきましたが、大きな病気をしたときのまとまった額の医療費や、介護状態になったときの介護費、また、子供や孫へのお祝い金も想定しておくと安心です。

それぞれの費用の相場について説明しますので、今後の参考にしてください。

医療費

厚生労働省の「生涯医療費(令和3年版)」によると、年齢階級別の医療費は以下となっています。

男性女性
55~59歳166万円146万円
60~64歳207万円170万円
65歳~69歳248万円203万円
70~74歳292万円249万円
75~79歳315万円297万円
80~84歳291万円322万円
85~89歳219万円300万円

上記の医療費は、保険適用前の金額です。保険負担は1~3割となっており、個人によって違いがあります。

70歳未満の人は、原則3割です。70歳以上74歳までの人は原則2割負担で、一定以上の所得がある人は3割負担となっています。

75歳以上の人が加入する後期高齢者医療制度では、原則1割負担、現役並みの所得がある人(単身世帯で年収383万円、夫婦2人世帯で年収520万円を超える人)は、3割負担となっています。

55歳~69歳は3割負担、70歳~74歳は2割負担、75歳~84歳までを1割負担と考えると、医療費負担額は以下のようになります。

  • 男性は193.4万円(65~84歳まで)
  • 女性は172.6万円(65~84歳まで)

これはあくまでも目安で、かかる病気の種類や寿命によっても年金受給後の医療費は変わります。

健康に不安がある人や、病気になったら金銭的な不安なく治療したい人は、医療費分もしっかり考慮して必要資金を考えるようにしましょう。

介護費

高齢になってからの介護費は、どれくらいかかるのでしょうか。「2021年度 生命保険に関する全国実態調査」によると、在宅改造や介護用ベッドの購入など、一時的にかかった費用の合計額は、平均74万円です。

介護で月々支払っている費用は、1ヶ月あたりの平均は8.3万円となっています。

また、月々の分布では、月15万円以上支払っている人が16.3%と最も多くなっています。

このように、介護費用は非常に高く、老後の資金計画を狂わせてしまう一因ともなります。リタイア後もできるだけ健康で長生きできるように心がけたいものです。

結婚の援助資金

子供がいる世帯の場合は、結婚の援助についても考えておく必要があります。結婚費用に対する親や親族からの援助総額は、以下となっています。

援助額割合
100万円未満18.3%
100~200万円未満34.9%
200~300万円未満26.7%
300~400万円未満10.9%
400~500万円未満4.6%
500~600万円未満2.9%

平均の援助額は187.8万円です。子供が結婚するときに援助をしたいと考えている場合は、援助額をイメージしておきましょう。

退職時に住宅ローンが残っている場合はどうするべき?

退職時に住宅ローンが残っている人は、

  • 住宅ローンを一括返済する
  • 一部繰り上げ返済する
  • そのまま返済し続ける

を検討する必要があります。

例えば、住宅ローンの毎月の返済額が約78,000円、そのうち利息分は約6,500円というケースを考えてみましょう。

ローン返済が10年残っていると仮定すると、残債は936万円、そのうち利息分は78万円と計算できます。

一括返済すると、これらの利息分を支払わなくて良いというメリットがあります。

しかし、退職金や貯蓄から一度に約940万円減ってしまうことになり、場合によっては不安に感じる人もいるでしょう。

また、住宅ローンでは団信に加入している人がほとんどのため、返済途中で亡くなることがあれば、返済は免除されます。

住宅ローン金利が高い時代は、繰り上げ返済や一括返済をして、できるだけ早くローン返済を終えることが重要でした。

しかし、近年は低金利で住宅ローンを借りているという人がほとんどのため、一括返済すべきかどうかは、さまざまな状況をふまえ、よく考えて決めることが大切です。

この記事で紹介してきた「退職時に必要な資金額」では、住宅ローンの返済額はほとんど加味されていません。

退職時に住宅ローンが残っている人は「必要な資金額」に「住宅ローンの残債」を足して、全体の必要資金額を把握するようにしてください。

今後の制度変更で医療費などの個人の負担が増える可能性もある

日本は高齢化が進んでおり、それに合わせて社会保障費も年々増加しています。また、少子化も進んでおり、高齢者の年金や社会保障費を支える世代が減っているという特徴もあります。

このような現状のなか、今後は医療保険制度や介護保険制度の負担が増えたり、年金支給開始年齢がより遅くなる可能性もあります。

例えば、後期高齢者医療制度の窓口負担は、令和4年9月30日以前と以降で以下のように変わり、一部の人の負担が大きくなりました。

区分医療費負担割合(令和4年9月30日まで)医療費負担割合(令和4年10月1日から)
現役並所得者3割3割
一定以上所得のある人1割2割
一般所得者等1割

今後も、このように個人の負担が増える方向で、制度が変更される場合があります。

高齢化社会に伴う社会保障費増加の傾向は、今後ますます進むと考えられます。

老後の資金計画を考える際には、将来負担が増える可能性があることも、頭においておきましょう。

まとめ

ただし、年収や退職金、年金の受給額は個々で異なるため、あくまでも目安の数字です。より正確な計算をしたい人は、退職金やおおよその年金受給額などを、問い合わせして確認するようにしましょう。

 

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